第3羽 ありがとう! 君の名前をもらうね??

 ここでウサギさんのお仕事を阻止しないと、私のお部屋が大変なことになっちゃう!

「えぇ? ダメなのぉ??」

 ウサギさんは不満そうな顔をしているけど、ダメなものはダメ! ダメ絶対!! でも、ウサギさんはどうしても何か齧りたそう......。そうだ、お父さんのお部屋にアレがあったはず!

「ありがとう! 歯ごたえがたまらない!」

 ウサギさんはとっても嬉しそう。押し入れにお父さんの木刀があったけど、しばらく使ってないから大丈夫だよね?

 さっきまで木刀だったそれは齧り尽くされて、もうペーパーナイフみたいになっちゃった。ウサギさんの歯って、とっても丈夫なんだね!

「ところでウサギさん、お名前は何て言うの?」

 ウサギさんは不思議そうな顔をして首を傾げてる。そうか、この子はお名前がないのかもしれない。

「私はゆき。ウサギさん、お名前がないなら決めないとね!」

 初めてのウサギさん。さて、何てお名前にしようかなぁ? 私がお名前を考えていると、ウサギさんはニコニコしながら言ったの。

「ありがとう! 君の名前を貰うね??」

 え? 私の名前!? ちょっと待って! それじゃあゆきが二人になっちゃう!! いや、一人と一羽か。そういうことじゃなくて、名前被りはダメ!!

「えぇ? ダメなのぉ?? 僕、ゆきがいい!!」

 僕ってことは男の子なんだ。それなら、尚更ダメだよね!? そうだなぁ......何がいいかなぁ??

 ウサギさん、よく見ると小麦みたいな色してる。......そうだ! こむぎちゃんなんてどうだろう??

「ありがとう! その名前を貰うね??」

 ウサギさん、新しいお名前を気に入ってくれたみたい。体も小さくて可愛いし、この子にはこむぎって名前がぴったりだと思う! ......あれ? 私、この子と一緒に暮らすそうとしてる?? まぁいいか!

 そんなことを考えていると、こむぎちゃんはいつの間にかお団子みたいに丸くなってた。こむぎちゃんは円らな瞳で私を見つめているけど、どうしたのかなぁ??

「......ねぇ、撫でて?」

 ......きゃっわぃぃぃっっっ!!! こむぎちゃんて、とっても甘えん坊さん!! ウサギってこんなに可愛いの!!? その可愛さはずるい! そんな目で見つめられたら、もう撫でるしかないよね!!?

 私が撫でると、こむぎちゃんは目を細めちゃった。毛並みもモフモフだし、もう最高っっっ!!!

 この瞬間、私の初恋はこむぎちゃんに奪われたのでした。

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