第2羽 ありがとう! 家の柱を齧るね??

「お帰りなさい。あらぁ、可愛いウサギちゃんねぇ??」

 お母さんはウサギさんの可愛さにもうメロメロ。けど騙されないで! この子は私達の命を狙ってるの!!!

「何を言ってるの? こんなに可愛いウサギちゃんが、そんなことするわけないじゃない」

 お母さんが頭を撫でるとウサギさんは快く受け入れた。何でか知らないけど、ウサギさんは口元からカリカリと音を出している。もしかして歯ぎしりかなぁ??

「この子、毛並みがいいわねぇ。うっとりしちゃう」

 ウサギさんの毛並みはとってもモフモフしていて、お母さんはそんな手触りの虜になっている。お母さん気を付けて! 命取られちゃうよ!!

「貰うね!」

 ウサギさん、どさくさに紛れて何か言っている。お母さんの命を狙っているみたいだけど、私がお母さんを守るんだから!!!

「ありがとう! 君のチモシーを貰うね!」

 あれ? 今何て言った?? チモシー??? 命じゃなくて???

「君のチモシーを貰うね!」

 あぁやっぱり! チモシーって言ってる!! もしかして命じゃなくてチモシーって言ってたの!? けど、チモシーってなんだろう???

「ごめんねウサギさん。ここにチモシーはないの」

 その言葉を聞いたウサギさんの表情が一瞬固まる。あれ? もしかして怒っちゃった??

「やぁだぁ! チモシーくれるって言ったじゃん!!!」

 ウサギさんは拗ねて階段の方へ逃げちゃった。てかウサギさん、お尻から何か落としていったよ??

「あらぁ? これは一体何かしら??」

 私は何となく分かった。ウサギさんがお尻から落としていった何か。お母さん、それはきっと――。 

「弾力があってプニプニしてるわねぇ? 臭いは特にないみたい」

 お母さんはプニプニのそれをつまんで感触を確かめている。へぇ、臭いはないんだぁ? けど待って欲しい......お母さん、それウ――だから!

 ああもう! お馬鹿なお母さんなんて放っておいてウサギさんを追いかけないと! もしかしたら、私のお部屋に入って行っちゃったかも??

 私が二階へ向かうと、部屋の方からガリガリという何だか嫌な音がしていた。

「ありがとう! 家の柱を齧るね??」

 ギィヤァァァッッッッッ!!!!! ウサギさんそれだけは止めて!!! 私のお部屋がボロボロになっちゃう!!!!!

 私は全力でウサギさんのお仕事を阻止することにした。

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