16.また遡りました。
2018年:12月4日
俺たちがいる関東から遠く離れた九州地方に、零矢たちのような能力者を支援している組織の本拠地があるらしく、とりあえずはそこへ向かって保護してもらおうという話にまとまった。
今日の出来事を一言で表すならやはり愛の逃避行だ。
見つかるスリルにドキドキしつつもモリちゃんと一緒にあーだこーだ思案して少しずつ前に進んでいった。
モリちゃんは随所でよく俺に気を遣ってくれたり、危ないときは手を引いて先行してくれたり……もう、すき。
性格がよくて可愛くておっぱいが大きくて気遣いができて優しくて責任感があって全てにおいてパーフェクトなとても良い子なのに、どうして零矢はモリちゃんと付き合っていないのだろうか。
目ぇ腐ってんのか? ハーレムなんかしてないでモリちゃんを選びやがれクソが。
ともかく、今はバスの中。
九州まではまだまだ遠いけれど、モリちゃんと一緒ならば俺は疲れ知らずだ。
今は隣で眠ってしまっているモリちゃんの代わりに俺が索敵しておかねば。
ありがとう。
おやすみ、加奈子。
★ ★ ★ ★ ★
『大丈夫だから、先に逃げて』
いやだ。
『絶対後で追いつくから、ね?』
そんなの嘘に決まってる。
『お願い、夜奈美』
そんなお願い、聞けるわけがない。
『…………まもれなくて、ごめんね』
こんなのあり得ない。
間違いだ。
こんな未来は間違っている。
───やり直さなきゃ。
★ ★ ★ ★ ★
2018年:12月2日
また戻ってきた。
今日はまだ何もしていない。
何も考えていない。
ただ無意味に汚れた床で寝転がっていた。
一つだけ分かったことがある。
スマホにいつの間にかインストールされていたあの黒いアプリだが、あれはタイムリープを起動するスイッチだったようだ。
おれが。
わたしが心の底から『戻りたい』と願うとスマホの画面が光り、その時にこのアプリを押せばこの12月2日に戻ってこれる。
ただ、それだけ。
今はこれ以上、何も考えたくない。
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