15.頼れる友達でした。
2018年:12月3日
とても困った。
マジの全力で逃げ回ったおかげか組織にも闇神にも見つからなかったのだが、その代わりといった感じで……偶然通りかかったモリちゃんに捕まった。
捕まった、というと語弊があるな。
保護された、が正しい。
どうやら俺の表情と態度で大体の状況を察してしまったらしく、彼女は『カービィのことはあたしが守るよ! まっかせなさい!』といって半ば強制的に自分の家へ俺を連行して、現在に至る。強引すぎるポヨ。
話を聞く限り、モリちゃんは最近暗い顔ばかりしていた俺を心配していたらしい。
それで昨日メッセージを送っても電話をかけても反応がなく、家へ向かっても俺が不在だったことから、こうして俺を探すためにわざわざ学校まで休んで街を散策していた、と。
モリちゃん……森木加奈子さま……聖人だぁ……。
控えめにって大好き。ほんとにすき。すきすき。結婚を前提にお付き合いしませんか?
連絡が取れなかったのは俺がスマホを捨てていたからなので、もしかしたら一週目でも、彼女は心配して連絡をよこしてくれていたかもしれないし、それどころかこうして俺を探してくれていたのかも。
前回モリちゃんと出会えなかったのは、彼女と鉢合わせる場所へたどり着く前に闇神に声をかけられてしまったからだ。
おそらく俺が原作の夜奈美と同じ道筋を逃げてしまっていたから、あいつも先回りができたのだろう。
でも未来を知って闇神に見つからないようルートを変えた先で出会ったのがモリちゃんだったなんて、これはもう運命だ。
命を運ぶと書いて運命。やはりモリちゃんは俺の救世主だった……!
いや、分かっている。
自分がおかしなことを言ってる自覚は誰よりもある。
友達は巻き込めない、などと言っておいてモリちゃんに保護されている今の状況は支離滅裂だ。
……無責任な話だが、一人で戦うと決めておきながらも俺は孤独を覚悟できていなかった。
世界に怯えて一人逃げ続けることが、怖くて、辛くて、寂しかった。
この日記を書いているときは多少なりとも誤魔化せてはいたものの、組織に見つかる不安や先が見えない恐怖に体が震えて、いつだって弱音を吐いて泣き喚きたかった。
きっと俺は誰かに助けてもらいたかったんだ。
手を差し伸べてほしかったんだ。
だから初対面の闇神にだって付いて行ってしまったし、河川敷の優しい老齢の男性にも甘えてしまった。
ゆえに、最終的に訳の分からない事象に巻き込まれて混乱しきったところへ差し伸べられたモリちゃんの……加奈子の手を握ってしまった。
秘密を共有したくて、傍にいてほしくて、入学して一番最初に
ごめんね。
でもありがとう、加奈子。
いま、本当に心が救われているんだ。
……よーし、明日からはモリちゃんとの愛の逃避行だ。がんばる!
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