10.なんか始まりました。
2018年:12月1日
どうしよう。マジで。
ヤバいよヤバいよ。
落ち着くから、ちょっと待ってね。
はい………あー、はい。
うん、落ち着いてきた、かな。
やっぱりスマホに文字を打ってれば多少は気がまぎれる。だんだん落ち着いてきたから、とりあえず文字に起こそう、そうしよう。
えっと。
実は。
あの、両親が悪者でした。
はい、私……俺の両親が。悪の集団に手を貸してる研究者だったらしいです。
よしとりあえず今日俺に何があったのかをまとめよう。
まず両親にいろいろうまいこと言いくるめられて、悪の集団……というか悪の組織(笑)のアジトに連れていかれた。
右見ても左見てもコンクリート壁の地下室で、見た限り実験室とか拷問部屋みたいな感じだった。
それで、えぇまぁ当然何も知らない俺は両親に言われるがまま椅子に座りまして。
『時空獣の遺伝子サンプル、投入します』
とか知らないオッサンに言われて腕に注射された。そこまで痛くはなかったけど、訳が分からなくて泣きそうだったのは事実だ。
たぶん──いや確実に、両親は五体満足で健康優良児である俺のことを
すべてこの日のために俺をあそこまで優しく温かく育ててくれたのだと思うと驚くほどに鳥肌が立った。
前世じゃ二人とも俺が小学校へ上がる前に死ぬし、今回は悪のマッドサイエンティストだし、俺の両親運なさすぎじゃありません? 両親運ってなんだよクソが。
とりあえずヤバそうな雰囲気は感じ取ったので、注射が終わってすぐに、マッドサイエンティスト共が次の資料を用意している間隙を縫って、なんとか死に物狂いで地下室を脱出。
んで、今は高校の近くにある公園に身を隠してスマホを打っている。
いまさら今日あったことを鮮明に思い出して怖くなってきた。これからどうすんだ俺。
まず時空獣ってなんだ時空獣って。
ホビーアニメにでも出てきそうな名前だなおい。名前の響きからして時空を司るとか時間を超えるとかそんな感じの獣なのかもしれん。マジで言ってる?
てかそんなのがいるこの世界ってやっぱりヤバイな。こわすぎ……。
いや、でも、うん。
日記を書く前よりかは冷静になってきた。
やはり文字にして情報を整理するのはめちゃくちゃ大事だな。習慣にしててよかったぜ。
とにかく今日は一旦寝て、頭を整理しよう。
GPSが怖いからスマホの電源は切って、ここからもう少し移動して寝床を探さないと。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます