第22話 大天使は「睡眠」を知る
「黒羽さん、「眠る」ってどんな感じですか?」
「急にどうした」
夕飯の冷やし中華を食べていると、
「ほら、前にも言いましたけど私「天使」だから基本寝ないんですよ。でも黒羽さん達って基本毎日夜になると眠るじゃないですか?だからどんな感覚なのかなーーって…」
「うーーん……」
まず天使って寝ないんだな。
なんか前にそんなこと言ってたような気がしなくもないが完全に忘れてしまっていた。
「「どんな感じ」って言われてもな…、ていうか天使って寝なくても大丈夫なんだ?」
「はい、まぁ「寝なくていい」っていうよりかは「寝る概念がない」って感じですかね…矢夏ちゃんの家にお泊りした時も結局私だけ起きてましたし…」
心なしか少しだけ寂しそうな表所を見せるウリエル。
しかし食べている冷やし中華はもう四杯目であった。
「じゃあ今日布団二枚敷くから試しに寝てみたら?意外と眠れるかもよ?」
「そうでしょうか…?まぁ物は試しです、寝てみましょう!その前に……冷やし中華おかわりッ‼」
「おかわりそれで五回目だよねッ⁉俺の分も残しといてよ⁉」
☆☆☆
「すぅ……すぅ……」
「速攻寝てんじゃねぇか」
「寝る概念がない」とは何だったのか、俺が布団を敷いた瞬間に飛び込んだウリエルはすぐにその意識を夢の中へと持って行ってしまった。しかし……、
「……すぅ……すぅ………」
「…寝顔…かわいい…」
窓から差し込む月明かりに照らされたウリエルの寝顔は……まさに「天使」の様な美しさであった。
これ以上見つめていると……何か良からぬことをしてしまいそうなので、俺も自身の布団に身を置くことにした。
「……ん…「ふ…じな…」
「……?」
寝言…だろうか、隣で寝ているウリエルの表情が、何故か、見覚えのある険しいモノへと変化していった。
「……わた…は…天……なり……この……に…えたい」…すぅ……すぅ……」
「あ…また寝た……」
今のは……いったい何だったのだろうか……、
正直「天使」という存在についてまだまだ知らないことが多すぎる。
だけど「今」は……、
「大丈夫だよ……おやすみウリエル……」
「…………んふ……」
不安そうなその頬を手でさすりながら……俺は静かに眠った。
――…出来ることを、少しずつ…――
《翌朝》
「黒羽さん何で私のおっぱい触りながら寝てたんですかッ⁉この変態ッッ‼」
「違うんです違うんですッ寝てる間に手がズレてたんですごめんなさいッッ‼‼」
……これから寝るときは距離を空けよう……
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