誕生日の当日は。
第45話 誕生日の朝とおにぎりと。
「お母さん、お誕生日おめでとう!」
みさきさんからお誕生日おめでとうを言ってもらってから、ちゃんとしっかり睡眠を取った朝の8時。
洗濯機のスイッチを入れたら、由都から電話がきた。
……嬉しい。愛娘からのおめでとうはやっぱり格別。
「ありがとう、由都ちゃんに言ってもらえると本当に嬉しいわ。でも、早起きね? お休みの日は10時までは寝ていたいのが由都ちゃんじゃなかったかしら?」
私と違って寝付きはそれほど良くはないので、由都は予定がなければなるべく寝ていたい子なのだけれど。
「お母さんのお誕生日のお祝いの準備だよ?起きなきゃ! 当たり前!……あ、お父さんもおめでとうしたいって!」
……もう、嬉しいことを言ってくれる子ねえ! あ、京さんからも?
「おはよ、しず。お誕生日おめでとう。今日は土岐さんは少し遅れるらしいけど、必ず伺いますと言っていたから。……土岐さんからのおめでとう、はしずには伝わっているみたいだね」
……うん、京さんからのおめでとうもやっぱり嬉しい。
伝わって……って、由都がお誕生日おめでとうを最初に言う権利をみさきさんに渡したことを言ってるのよね。
「ああ、言わなくて良いよ。しずと土岐さんの大切なことを邪魔するほど野暮じゃないつもりだよ。今日は大丈夫そうだね。土岐さんも、遅れてしまうかも知れないけれど必ず、と連絡がきてるから」
みさきさん……また明日、じゃなくまた今日に、って約束したから、会えるのは分かっているけれど、やっぱり少しだけ緊張するかも。
京さんの気遣いも併せて、嬉しいのよ。でも、ね。
……そうだ。
「あの、何か持参しても良いかしら? リクエストは?」
そう。私も何かお持たせをさせてもらおう。何か作っていたら、きっと落ち着く。
「じゃあ、しずのおにぎりが食べたいな。無理はしないでね? 今日は君が主役なんだから」
「大丈夫。持参したいの! 京さんは、塩おにぎりと明太子よね。任せて! 冷凍の明太子があるから。由都はおかかね。一応訊いてみて?」
「聞いてるー! そう、おかか! あと卵焼き、良い?」
「だし巻き?」
「お願いします!」
「はい、分かりました。じゃあ、とりあえず13時でお願いね」
「うん!」「了解したよ」
……では、少しだけ米酢を入れてご飯を炊いて、あとは。
『好きなおにぎりの具は何でしょうか? 今日、持っていきます。よろしければ教えてね』
……もし。
まだ炊けたお米がある時にメールの返信が来たら。
手元に無い具材でも、できるだけ用意してあげたいな。
……みさきさんにも。
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