第43話 誕生日の前日に。

『お母さん、明日のお買い物と下ごしらえ、ちゃんとできたよ! 今日はもう寝るね! 明日、期待しててね! おやすみなさい!』


『明日、しずの生まれた日を一緒にお祝いできるのが嬉しいな。明日は昼過ぎの好きな時間に家に来てね。由都と待っています。15時を過ぎるなら先に教えてくれるかな。じゃあ、明日ね』


 愛娘由都と、由都の父、京さんからのメール。


 明日は私の誕生日。

 京さんのマンションで、二人は明日のお祝いの準備をしてくれているのだ。


 メッセージアプリよりもメール、の私に合わせてくれているのも嬉しくてありがたい。

『ありがとう。ちゃんと寝てね』

『由都をよろしくお願いします。明日の時間、了解です』


 二人に返信して、時計を見ると23時になるところ。

 去年は夜更かしした由都が0時にドアをノックしたから、ありがとう嬉しい! でも、早く寝てね、って言ったのよね。


 嬉しいけれど、早く寝てほしかったから、苦笑いになっていたかも。


 京さんは、朝にメールをくれて、夕方からは三人で食事をして。


 由都はお家でプレゼントをしてくれて、京さんはカルビがおいしい焼き肉屋さんでケーキのプレートまで頼んでくれていて。

 その上、由都と私を家まで送ってくれて、ありがとうを言おうとしたら、トランクからは京さんとご家族からの誕生日のプレゼント! それを玄関まで運んでくれて……。

 印象的な誕生日だったわ。


 今年も、そう。


 かわいい愛娘と、娘の父親から明日はお祝い、と言われて。

 離婚したのに娘の父親が私の親友なのよ。


 しかも今年は、みさきさんまでお祝いしてくれるなんて。


 由都の家庭教師さんで、由都の恋人になる人……だと思っていたのに。

 実は、みさきさんの思い人は……。


 ……やっぱり、幸せ者よね……私。


 しみじみとしていたら、そろそろ0時に!


 いけない、去年の今頃は由都に感謝しながら、それでも、早く寝なさい、って言っていたのに。


 常温のミネラルウォーターだけでも飲んでから、寝ましょうか……。とにかく、早く寝ないとね。


 そう思っていたら。


『明け方でも朝でも、いつでも構いません。電話をさせて頂いても良い時に、ご連絡下さい。 しずるさんのご都合の良い時でお願いします。みさきより』


 ……。

 みさきさんからのメールが。


 どうしたのかしら。

 返信は……今? じゃなくてこの文面だと明日の朝が良いのかしら?


 そう考えていたら……0時。

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