第39話 誕生祝いは先達庵さんで?

「終わったよ、予習! チョコレートケーキ食べて良い?」

「ええ、お茶はブルーベリーティーで良い?」

「お母さんが入れてくれるブルーベリーティーいい!」


 宿題は既に終えていて、念の為にと予習もしていた由都。自室から戻ったので、冷蔵庫からチョコレートケーキを出してお茶を入れる。


 私が入れたのが良い、とか。何てかわいいの、私の愛娘は!

「……チョコレートケーキ、おいしい!これ、クリームはお母さんが添えてくれたんだよね?」

「このケーキ、苦みがおいしいのよ。でも、由都ちゃんには少しだけ苦いかと思って。」

 軽く泡立てた生クリームを添えたら、由都の好みに合ったみたい。

 ブルーベリーティーも、香りと程よい酸味が気に入っているので、生クリームは口直しになるだろう。


 私もブルーベリーティーを頂いて、しばらくゆったりとした時間を過ごしてから由都に訊いてみた。


「京さんに聞いたのだけれど、私のお誕生日のお祝いの相談を皆でしてくれたの?」

 すると、かわいい由都の目がきらきらと輝いた。

「……そうそう、そうなの! 来週の日曜日、お母さんのお誕生日当日。お父さんのお家でケーキをたべようね!……で、クリスマスイブはなんと、先達庵でお祝いです!三人でお話しながら先達庵さんにも連絡してみたの、そしたらね、元々先達庵さんてクリスマス前後はお休みして年末年始は営業だったのを、お母さんのお誕生日を一緒にお祝いしたいね、って話になって。だからきちんとお祝いするのはクリスマスイブね、日曜日だから! あ、来週プレゼントは渡すよ!私もお父さんも、みさきさんも!」


 ……え。お誕生日はみさきさんも来てくれて。……先達庵さんで、クリスマスイブ?


「……ええと。先達庵のお二人と由都ちゃんと京さん、ずいぶん仲良しになったのね? あと、ご迷惑じゃないかしら……」


 由都と京さん、それにみさきさんが誕生日当日にお祝いしてくれるのは……嬉しい。でも、先達庵さん、お休みって……。


「……って、お母さんが言うだろうから、って先達庵さんがお母さんにメールして下さるって。」

 ……そうなの?


「ほら、メールの着信音」

 言われてみたら、私のスマホには確かにメールの着信音が。


『代表してさち江からです』


 ……文面は。

『しずるさんのお誕生日をお祝いさせて頂けるなら私達はむしろ嬉しいわ! だからご遠慮なさらずにね! 気になるならクリスマスパーティーだと思って楽しんで! 娘さんも娘さんのお父さんもさすがはしずるさんの、という雰囲気だったからお会いできるのが楽しみなのよ、じゃあ、また!』

 ……確かに、由都の言うとおり。


 見せて、と言う由都にスマホの画面を向けたら。


「ほら、ね?」

 えっへん! という表情。


 ……ああ、もう! かわいいわ!



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る