29th mission ベイゴマの男。その名は、ガリレオ(?)
――カルデルーポを倒すと決めた俺は、道中で知り合ったサマンサと、そして人質として車の中に乗せられていたアリナと共に冒険を始める。しかし旅の途中、休憩のために寄った小さな田舎村で事件に巻き込まれる……。ベイゴマを操るガリレオとかいう男と戦った俺は、サマンサ達に連れられてとあるホテルの中にやって来た。そこで、この村に蔓延る謎の存在「魔王」こと――吸血鬼の存在を聞かされるのだった。そして、その吸血鬼を倒すには神話の時代に神が授けた「古代魔法」っていうのの力が必要らしいけど……。どうやら、その12個あるうちの1つが俺のこのけん玉の魔法らしい……。
…………うーん。頭の中で色々整理してみたけれども……やっぱり分からん。ていうか、けん玉が強くてどうすんだこの世界。
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「えーっと…………」
俺は、固まっていた。この前に座っているペチュニアおばさんが真っ直ぐと俺の事を見て来てるのだが……。
困った俺は、おばあちゃん達に向かって一言告げた。
「……やたらと俺の事を見てきますけれども、その……これは……」
すると、ペチュニアおばさんは答えた。
「そりゃあ、古代魔法を持つ英雄様ですからの」
「いやいや……ちょっと待て! 俺が、英雄~ってのは……物凄く嬉しいし! 正直もっと言って欲しいくらいだけど……でも俺のこの魔法がそんなすげぇわけねぇだろ? だって、コイツはギルドで見て貰った時には職務適正なしのニート確定最弱魔法なんだぜ? 他のギルドにいた奴らにも馬鹿にされた。それが、なんで……」
すると、ペチュニアおばさんが「うんうん」と頷いてにっこり微笑みながら答えた。
「……それはの、古代魔法所持者は皆そう言う風な結果出るもんなんじゃよ。何故なら……残された12の古代魔法は、数千年の間行方不明だった。ここ最近になってやっと、この国のあちこちで古代魔法所有者が見つかるようになったわけよ。だからの、何千年の間に儂ら人間は古代魔法というのがどんなものであるかを忘れてしまったのじゃ。そのせいで現代人は古代の神秘に気づく事ができず、今の技術レベルでは測れないその力を職務適正なしという最低の烙印を押す以外になかった。というわけなのじゃよ……」
――えぇ? なんだよそれ……。それって、つまり今生きてる異世界人全員無能って事かよ。ざまぁ展開にしては、少々やり過ぎじゃねぇか? それ……。
ペチュニアおばさんは、更に続けた。
「……実際、わしの孫もお主と同じような診断をされたからの」
──へぇ……。
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──ん?
俺は、そのまま疑問を口にしてみる。
「えっと、ちょっと待て? その……聞き間違えか? アンタ、今さっきなんて……」
ペチュニアおばさんは、もう一度説明してくれた。
「孫じゃよ。わしの孫……ガルレリアス。この子もの、お主と同じく古代魔法を持って生まれたわけなのじゃが……15歳の誕生日の日にギルドへ行って職務適正を計ってもらったら、仕事はないと言われたんじゃ。おかしいと疑問に思ったこの子の両親は、その後魔法について勉強をして息子が社会不適合者じゃない事を証明して見せようとした……そして、古代の魔法の文献を読んだ2人は気づいたんじゃ。ガルレリアスの魔法は古代魔法。文献のみにしか記述のない未知の力だとの」
「……」
俺は、もう何も言えなかった。──いや、だって伝説の魔法の正体がけん玉とベイゴマってこの世界もう終わりだろ? 昔の英雄、これでよく魔王倒せたな。凄すぎでしょ!?
すると、1人で混乱している俺の元へ更にガリレオが付け足して言ってきた。
「父さんと母さんのおかげで俺はその後、この国の騎士団に入ることができて、そして今ではかなりの重職にも付けれた。故郷のこの村に帰れなくなってしまったのは寂しかった。……けど、まさかこんな形でここに戻る事になるとは思わなかったぜ」
ガリレオは、そう言うと深くため息をついて、自分の足元を見た。そんな彼の姿を見て気になったアリナが野郎に質問する。
「……どうしたの?」
すると、野郎は顔をゆっくり上げて一言だけ答えた。
「……俺の父さんと母さんは、吸血鬼に殺されたんだ」
――To be continued.
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