12th mission 隕石魔女の暴露

 ──全身真っ黒の女が詠唱を唱えた途端に真っ黒い空の上から煌びやかに輝く天の川のような眩しい星々がその輝きをどんどんと増していった。




 いや、増していってる所じゃない! 星の輝きがどんどん大きくなって……そのうち、星野用の丸く輝いていたはずのそれがどんどん形を変えていき、ついには岩のゴツゴツした見た目が顕になった。



 ──隕石。あの魔法使い帽子の黒い女は、詠唱を唱えて隕石を降らせているのだ! しかも1発とかではなく同時に何発もの隕石をシャワーの水のように落としまくって来た。




「マジかよ……。今、カメラセットしてスローで撮影したらとんでもねぇものが撮れんぞこれ……」


 俺はそんな冗談を口にしていたが、正直これ位の事を言って自分で苦笑いでもしてないと正気を保てない。



 なぜなら自分にとってこれが初の魔法体験でもあるのだから……。




 黒服の女は言った。


「貴様ら……持っている石を渡せ。それが、あちきの任務ミッションだ。渡さねば今すぐこの隕石を一斉にお前達に落とす……!」



 彼女のその言葉に俺は、完全にビビっていた。勝てるはずがない。



 俺は思い出した。ギルドであったあの出来事を……。





 ──俺の魔法は、けん玉。触れたものをけん玉に変えるだけのしょうもない魔法だ。隕石なんて食らったらけん玉はひとたまりも無く消し炭にされる。それは分かっていた。




 ──言おう! 降参すると……。それしか方法はない。






 俺がそう決意したその時だったあまりにもタイミング悪く後ろで見ていたアリナが黒服の女に怒気の籠った声で文句を垂れた。



「何すんのよ! 危ないじゃない! 後少しで死んでたかもしれないのよ!」


 彼女が車のドア越しにそう怒鳴りつけると黒服の女はしばらく彼女の事を見つめてからニタァっといやらしい笑みを浮かべる。彼女は言った。


「……なるほど。そういう事か」



 そして彼女は、ゆっくり歩いて車の方へ近づき、その前にいる俺のそばまで来ると小声で言った。



「……あの方を乗せていたとは。貴様、やはり……」


「……?」


 俺はキョトンとしていた。この女が何を言っているのか分からない。



 俺が悩んでいると彼女もそれに気づき始めたのか、俺の悩みに答えるように喋り出した。



「あなたは、知らないようだ。彼女が何者であるかを……」



「え……?」



 俺の魔の抜けた声の後に彼女は言った。














「……彼女は、お嬢様レディ。お前達、カルデルーポ・ファミリーの敵対組織であるグランティーノ・ファミリーのボスの娘だ」




























――To be continued.

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