11th mission いきなり敵です!

 それは、俺達が車を再び走らせている時に起きた事だった。突如として俺達の車の周りに隕石のようなものが降って来た。



「なっ、なんだぁ!?」



 しかもそれは、1つじゃない。沢山だ。物凄い数の隕石が車の周りでほぼ一斉に降って来て大地を砕く……。それらは、大きさはそこまでじゃないが……しかし、しっかりと1発1発の威力はとんでもなく、地面に小さい穴が開くほどだった。





「……ちょっ!? これ、なんかヤバいんじゃないの!」



 助手席に座るアリナもこのヤバさに気づいたらしく、運転している俺の体を揺すって慌てた様子で声をかけて来た。




「……ちょっと! 急ぎなさいよ! 早くしないとアタシ達もこの石ころに当たってドカーンよ!」




 アリナの迷惑行為に俺は少し怒った声で返す。




「……ちょっ!? 分かってるよ! 全速力で走ってるさ! でも、お前が揺らすせいでハンドルがブレちまうって!」




 しかし、アリナは……。




「……そんな事言ってないでスピード上げてよ!」







 ――ひっでー女だぜ……。










 しかし、実際これ以上のスピードなんてもう出ない。限界までアクセルを踏み込んでいるが……しかしそれでも尚、隕石は止まらない。




「……というより、明らかに降って来るスピードがどんどん増してきてねぇか!?」



 俺は、車の窓から覗き込むように外の景色を見ていたが、確かに自分が思っている通りに隕石の落下速度がどんどん上がって来ている。







 ――まずいなぁ……。




 そう思いながら俺は、車を走らせていた。しかし、その時だった。突如、俺達が走っていた道の前が大きな隕石に撃たれて、とても巨大なクレーターができたような穴が出来上がってしまった。







「……なっ、なんだぁ!?」




 驚いた俺は、すぐにブレーキをかけるが、車というのはブレーキを踏めば簡単に止まってくれるわけではない。というルールは、やはりこの世界にも適応されるようで……俺の車は地面をスリップして行った。








 ――キキキキッ! と道とタイヤが擦り合う鈍い音が聞こえてくる。車は、少しずつスピードを緩めて行く。











 そして、クレーターのある場所のギリギリでようやく車は止まってくれたのだった。






「……はぁ、良かった」



 一安心していたのは、俺だけではない。隣に座るアリナも凄く緊張していたようで大きく息を吐き捨てて肩を下ろし、心を落ち着かせようとその後も深呼吸を繰り返していた。






「なんだったんだ? これは……」



 俺が、車の中で愚痴を零してチラッとバックミラーを見た。すると、その時そのレンズの中に何者かの腰から足が見えた。

 服装は、そこからじゃ断定はできないが、黒いロングコートとその中にも黒い服を着ていて、下半身も黒いズボンを履いた。全身真っ黒の格好をしており、体の細さと丸い体系から女性と分かった。




 俺は、すぐに真剣な顔になって車から外へ出ようとドアに手を置いた。



「……知らないわよ。そんなの…………さっ、もう行きましょうよ。外の石も止んだみたいだし……」



 と、助手席でそんな事を呟くアリナであったが、俺が車から出ると彼女は、途端に口をパカっと開いて驚いた様子でいた。




「……どっ、どうしたの?」



 そんな事を言っていたが、俺の意識はもう完全に後ろにいる敵の方へ集中していた。俺は、車から降りてドアを閉め、その女性のいる方へと少しだけ歩いて行った。女性の見た目は、やはり全身が真っ黒で、そして頭には魔法使いの被るような大きな帽子を着用。また、背は少し小さめなのに女性らしさを感じる部分はしっかり育っており、そこに関しては最早素晴らしいの一言だった。特に服の上からでも分かる胸は圧巻だった。ちなみに、長い杖を右手に持っており、杖の先には黒い光を放った宝石のような石が取り付けられている。こういった所も、まさしく魔法使いと言った所であった。




 そうして、俺が女の姿を確認しているとその様子を車の中で見ていたのか、後ろからドアが開かれる音とアリナの声もする。




「……そっそいつは……誰なの!?」



 彼女が俺にそう問いかけてくるがそんな事、俺だって分からない。だから、降りたのだ。この明らかに怪しいこの女が何者であるかを突き止めるために……。




 俺は、降りて車の後ろのトランクの傍に立つと言った。




「……あなたは、誰ですか?」



 すると、彼女はクスっと笑った後に妖艶な笑みを浮かべたまま手に持った杖を空高くあげるだけで何も言ってこなかった。



「……」




 ――なっ、なんだ!? この不気味な感じは……!




 俺が、何かを警戒しているとその時! 突如として空の色が黒く変化する。





「……なっ、なんだぁ!? もう夜なのか!」





 驚いていると、更に黒い空の上で星のようなものがキラキラと光り出す。それらは、物凄い数光っており、まるで天の川のようだった。





「まぁ、綺麗……」



 アリナも後ろでそんな呑気な事を言っていた。しかし俺は、もう既に気づいていた。










「……まさか、君が!?」



 俺がそう言うとその真っ黒な格好をした魔法使いの女は、こう宣言した。


















「……宇宙よ荒れろ! この者達に鉄槌を! ……降り注げ。隕石メテオ!」





















 ――To be continued.

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