7th mission 冒険の始まりは、美少女と共に
――大我が出発した後の事。
「ねぇ、パパ? 本当にあの男で合ってるわけ? あれ、全然使えなさそうよ? 大丈夫なの?」
「ふふふ……安心しろ。エルビラ……心配はいらないよ。あの男ならきっと何とかしてくれるさ。既に手も打っているしね」
「まぁ、それなら良いけど……。でも所でパパ?」
「どうしたんだ? エルビラ?」
「……実はね、今さっき分かった事なんだけど、あの魔道車……石だけじゃなくて、もう1つ港に運ぶものが積まれているのよ」
「何? それってもしや……」
「えぇ。さっき部下が確認した所確かな事らしいわ。どうする? 大我にこのまま……もう一つのミッションもやらせる?」
「…………う~む。だが、仕方がない。それもまた、あの男の運命なのだろうしな。俺達、カルデルーポ・ファミリーの目的達成の為にも…………彼には頑張ってもらわないとね」
「……分かったわパパ。後で通信魔法で大我に伝えておくわ」
「頼んだよ。私の可愛いエルビラ……」
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――車を走らせてからもう30分が過ぎようとしていた。道は、さっきから真っ直ぐな道で周りは農家しかない。農家のおじさん達の不思議そうな眼差しが刺さって来る。
「いや、俺だって不思議さ。まさか、異世界に車があるだなんて……。しかもガソリンじゃなくて魔法で動くとか……そんなのもう何でもあり過ぎるよ。ショックだったなぁ……」
俺は、そんな愚痴を零しながらハンドルを握って運転を続ける。……これじゃあ、もうどう見ても異世界を冒険する冒険者でも旅人でも何でもない。ただの運び屋だ。……いや、まぁあながちそれも間違っちゃいないのだろうけど……。
そんな事を思いながら、俺は紙の地図を手でトンっと叩いて魔法を展開させた。すると、たちまち地図は大きく広げられてパタパタと折りたたまれていたはずの、それが展開。そして、展開された地図の上に赤い矢印が表示されて、それが真っ直ぐと動いていた。かなり先には、青い丸で囲まれた目的地らしきものまで表示されている。そして、赤い矢印と青い丸の2つを繋ぐように経路も表示される。
俺は興奮気味に答えた。
「すっげぇー! 流石魔法! この世界に来て初めてまともな魔法に触れる事ができた気がする!」
俺は、その地図をたまに見ながら運転をしていた。
「このまま真っ直ぐ行けばひとまずは、良さげだな!」
それが分かったので、俺はすぐに地図をもう一回トンっと叩いた。すると、たちまち展開されていた地図がパタパタと折りたたまれていき、さっきの小さい紙の姿に戻された。
「よーしっ! 行くぞ!」
俺は、アクセルを踏み続けながら車を馬車の通る道に沿って真っ直ぐ進めて行った……。
――次の町へ到着するまでにまだ相当時間があった。少しして畑もなくなってくるとそこはもう完全に石畳の道があるだけの自然の景色のみの空間。俺は、その異世界に咲く花や木を楽しみながら車を走らせた……。
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しかし、もう30分が経過しだした頃だった。俺は既に限界を迎えていた。
「……さっきからずっと景色が変わらない。しかも音楽かけたりするのもないし……ラジオ聞いたりもできない。マジで暇だ。……何か暇を潰せるものが欲しいけど……運転中だし……」
俺は、車の中で1人困り果てていた。すると、今度は段々と腰が痛くなってきて……眠気が増して来た。
「あぁ、やばい。長時間座ってる弊害か……腰が痛い。それに、眠い。メチャクチャ眠い」
俺は、あくびをしながらそれでも何とか寝ない様に独り言を言い続けて眠気を抑えようとしたりして頑張ってみたが、効果はいまいちだった。
「もうダメだ。……どっかで一度休憩しよう」
俺はそう思って、とりあえず道の端っこに車を停めて一度完全にエンジンなども切った。それから、周りに何もないかを確認し終えると、俺はそのまま椅子を倒して横になった状態で目を瞑り、眠りについた。
「全く……この世界は、一体何なんだ?」
そんな独り言を言いながら俺は、眠りの世界へと入って行ってしまう。この世界に来て初めての睡眠だった。思えば、ここまでの出来事は全て一日のうちにあった事。凄く長く感じるが、そういうものだったのだ。
あぁ、でも……あまり長くは寝れないよな。……目覚ましをかけないと…………。
「あれ? ここに……目覚ましなんてあったっけ?」
この言葉を最後に俺は、完全に眠りの世界へ入って行ってしまうのだった……。
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――それから、どれくらいの時間が過ぎた事だろうか? 俺は、珍しく目覚ましなしで起きる事ができたのだ。
前の世界では、目覚ましを10個鳴らさないと起きれなかったのに……。というのも、それはある意味当然の事なのかもしれない。
目覚めだした最初の頃は、自分の力で自分が起きるなんて……と寝ぼけながらも驚いたものだが、よくよく耳を澄ましてみせると、変な音が、聞こえて来ていたのだ。
その音は、何かが車にぶつかる音。しかも、聞いた感じ外から誰かが車を叩いているとかではなく、内側から何者かが車を叩いて暴れている……と言った感じだった。
「おいおい。なんだぁ?」
寝ぼけ眼を擦りながら俺は、上体を起こした。いくら魔法で作られた魔法の力で走る魔法の車だったとしてもこんな物理攻撃を何度も喰らっちまったら壊れるかもしれない。心配になった俺は、もっとよく耳を澄まして……さっきからガンガンなる車の後ろの……何処であるかを耳で特定した。
「トランクかなぁ……?」
そう思って俺は、一度車を降りた。そして、後ろに回り込んでトランクの中を調べるために歩いて行ったのだ。
俺がトランクの前に立つとやはりそこが「ドンッ!」という打撃音の後にガタッと揺れているのが分かる。俺は、すぐに開けて原因を確かめようとしたが……しかしその直前で手が止まった。
「この中には、例のあの危ない石も入っている。……もしも、この中を開けていきなりヤバイ事になったら……」
俺は、そんな恐怖に一瞬だけかられた。しかし、それよりも今はこの謎の事態を何とかする事の方が先だ。気持ちを切り替えた俺は、自分の頬っぺたを両手でパチンと叩いて覚悟を決めた。
「こんな所で引いちゃダメだ! 帰ってエルビラさんとデートするためにも……開けないと!」
そう思って俺は、車のトランクを開ける事にした。両手を使ってロック魔法を解除。それから、黒い色をしたトランクを持ち上げて開けた。
何が入っているのか、俺は緊張のあまり開けた瞬間に目を閉じた。
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「……」
そして、少しして俺は目を開けた。緊張のあまり、ゆっくりと瞼が開かれていったが、しかしそこに写っていたものは俺の予想の斜め右を行った。
「……え? なんで?」
トランクに入っていたのは……人間。それも女だった。ふわっとした黒いスカートが特徴的な衣装。まるでそれは、前に俺が住んでいた世界で言う所の地雷系ファッション? に似ており、それに近い服装をしていて顔や髪型もそれっぽく可愛らしい化粧が施されていたり、ツインテールっぽくなっていたりしていた。しかし、そんな可愛い美少女の両手と両足は光り輝く手錠のような輪っかで拘束されており、明らかにただならぬ状態だった。口元もハンカチのようなもので喋れないようにされている。
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「あれ?」
――おかしかった。話が違う。……もしかして、既に封印は解かれていて……。
そんな最悪の事態が俺の頭を過った。気づくと俺は、驚きの余り叫んでいた。
「……なっ!? なんで、ここに女の子がァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!?」
――To be continued.
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