第21話
魔法騎士団、本部。
最上階にある団長室に一人の隊員が来ると、
魔力感知室で起きたことを報告する。
隊員は戸惑いながらも、ゆっくりとはっきりと告げた。
王席の様な団長席に座る魔法騎士団長は、確認の様に何度か問いかけた。
そして、隊員の回答にゆっくりと頷く。
「――私が行こう」
すべての理解した様な顔で、魔法騎士団長は自席から立ち上がった。
モデルに様な容姿をした赤髪の青年。
エニシス魔法騎士団長、オシリス・エニシス。
一か月前に騎士団長に就任したエニシス第二王子である。
「私が行くまで、第一部隊のスメラギ隊長に指揮権を委ねる」
団長室に飾られた白銀の大剣を、オシリスは手に取った。
その大剣は数百年前、天空を引き裂いたと言われる聖剣・ネフィタリス。
聖剣は代々エニシスの騎士団長のみに使用を許された武器だった。
聖剣を手に取る。
その光景に部下は言葉を失った。
その聖剣が戦争に出ると、その戦は自然と聖戦と呼ばれる。
つまり――この戦争は聖戦なのだ。
これから始まる聖戦。
予想がつかぬその世界に部下は息を飲んだ。
しかし、聖戦はすべてエニシスの勝利。
成功談として語られる戦争なのだ。
聖戦であるからには、勝利であろう。
部下は勝利を疑わなかった。
「はっ!」
覇気のある声で部下は告げると、すぐさま団長を出た。
「にしても、アルカード――か」
聖剣を背中に担ぐと、オシリスは大きく息を吸った。
グレイニル・アルカード。
歴史上、最も強く最も脅威である存在。
「この聖剣で我が今、成敗しよう――」
オシリスはゆっくりと笑みを浮かべた。
轟かせるのだ。
今度は、自身の名を――。
――覇王を討伐した神聖な騎士の名を。
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