第343話 騎士?
「クロエ様!なんなのですかあの話は!」
交渉をおえ、クロエとともにアクラから滞在用に用意された部屋に戻ったローズはクロエを問いただしていた。
「ローズ、貴女には他に何か考えがあったとでも?」
「うっ、代案などありませんが、それでもラニアン王国が降伏するかのような、発言を王女の貴女がするのは如何な物かと思います。」
「既にラニアン王国は滅亡の危機になっているのです、せめて名前だけでも存続する事を望むべきでしょう。」
「間違っています!陛下が望まれていたのはゴウに命じ魔王軍の囲みを解くことです。」
「ゴウさんに命じる事なんて出来ないでしょ!
お父様は無理を言ってましたが、今やるべきは国の存続です!」
「クロエ様どうかお考え直しください!」
「ローズ、交渉はまだ続きます、私の考えに賛同出来ないならルデンに帰りなさい!」
「くっ・・・」
ローズは悔しそうに引き下げる。
「はぁ、わかってくれたのですね。
交渉はこれからも続きます、今日の所は休みなさい。」
クロエはローズに自分に与えられた部屋に戻り休むように伝え、ローズも大人しく部屋へと戻っていく。
・・・はずもなく。
「クロエ様は何を遠慮しているんです、ゴウのような平民などガツンと言えば良いだけなんです。
・・・そうか、クロエ様が直々に言えない理由があるのですね!
そうだ、そうに決まっている、クロエ様が陛下の命令に意味も無く従わない理由が無い。
そうなると忠実な私がすべき事は交渉の場にゴウを引きずり出す事ですね!」
何を勘違いしたのかローズはゴウを探しに行くのだった。
「まったく、魔族の警備が邪魔ですね。」
当然ながら、クロエとローズは魔族に監視されている、無闇には出歩ける筈が無いのだが・・・
「よいしょ。」
ローズは部屋の天井裏に空間がある事に気付き天井の一部を切り天井裏に移動する。
「思った通りですね、ここから他の部屋に向かえそうです。」
気配を消しながら空き部屋に移動、其処から部屋におり周囲を確認する。
「所詮魔族ですね、抜け出した事に気付きもしない。
さて、ゴウは何処でしょう。」
ローズは気配を消し廊下に出る、見回りの兵士をやり過ごしながら屋敷の構造を把握する。
「なるほど、この造りなら要人はこの辺りにいるはずですね。」
建物の造りから要人がいる部屋に当たりをつけ、其処を目指して移動する。
騎士として、外交官として無能な彼女だが、盗賊としてなら優秀な才能があったのかもしれない、誰に見つかる事なく狙いの部屋、その隣に入り込む。
「さて、此処にゴウがいると思うのですが・・・」
ローズは壁に耳を当て隣の部屋の音を聞く・・・
「ゴウ様はラニアン王国をどうしたいのですか?」
「ラニアン王国か、魔王国の好きにしたら良いと思っているよ、まあ住んでいる人を虐待とかはしてほしくないけど。
言わなくてもクーラさんはしないよね。」
「住民を虐待しても何も生みませんから、お父様じゃなくてもしませんよ。」
「だよね、そうなると俺が口を挟む事は無いかな。」
「クロエ王女と面識がお有りなのでは?
今ゴウ様が望まれれば妾にする事も可能かと?」
「やめてよ、俺は妾とか必要ないし、そもそも王女様を妾ってどんな状況?」
「そうですね、亡国の王女に価値なんてありませんから。」
「違う違う!亡国とか関係無く、女性を妾にするつもりなんて無いよ。」
「そうですか、たしかに剣神様も口では一夫一妻制を唱えていたとか・・・」
「口ではってなに!たしかに女の子にモテる奴だったけど、リョウはどうなったの!」
「幸せな家庭を築いたと伝わっております。」
「奥さんは誰!何人いたの?」
「それは、申し訳ありません、剣神様が後世に伝える事を許さなかったようで正妻が誰かは記録が残っていないのです。」
「いったい何があったんだ・・・」
俺がリョウの未来に何があったのか思いをはせている中・・・
「おのれ、クロエ様を妾にするだと!!」
隣の部屋ではゴウとククリの会話を聞きながらローズは怒りを溜めていたのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます