第341話 交渉前に
「クロエさんが交渉に来ている?」
「はい、そこでゴウ様には交渉の場に来られるか確認しに参りました。」
アクラは直々にゴウの部屋を訪れ確認を取るのだった。
「まあ見捨てるのもね・・・
わかりました、その場に居させてもらいます。」
「ご足労をおかけします。」
「いえいえ、私の我儘ですから。」
俺はアクラとともに交渉の場に向かう。
「ゴウさん、やはりいらっしゃったのですね。」
「ええ、ラニアン王国が戦争の準備をしていると聞いて此方に来ました。」
「私達は戦争する意志が無いのです、誤解を解く為にこの場に来た次第です。」
「そうですか、しかしそれについてはこちらのアクラさんとお話をしていただいた方が良いと思います。」
「ゴウさんから口利きをお願いできないのですか?」
「残念ですけど国同士の行動に口を挟む気はありません、それに魔王軍に肩入れしておりますのでラニアン王国の為に行動する事は無いと思ってください。」
ゴウの冷たい言葉にクロエは当初の目論見の一つが潰れた事を感じる。
「クロエ王女、国家を代表しての使者が相手国を無視して話すのは非礼であろう。」
「これは失礼しました。
ですが、ゴウさんのお立場を考えれば先に挨拶するのは魔王国の礼になるのではないかと考えた次第にございます。」
「たしかにそうであるな、これは私の方が間違っていたようだ。
だが、軍を預かる立場として交渉に立つべきは私だと考えている。」
「ええ、それは存じております。
ただ滅亡を前にした国の使者として生き残る術を模索しているのは致し方無い事とお思いください。」
「わからぬでもない、ゴウ様この者とゴウ様のご関係をお聞きしてもよろしいでしょうか?」
「関係ですか?
魔物に襲われていたので保護してジョージア王国に紹介して、その後ラニアン王国に送り届けた関係でしょうか?」
「その中に男女の関係は?」
「失礼であるぞ!!
クロエ様がそのような真似をするはずは無い!
無礼な口をきくな!」
下世話な話が出たせいかローズが激昂する。
「ローズ控えなさい!!
失礼しました、彼女は少し堅い所があるせいか、このような話は苦手なのです。」
「クロエ様!この者たちはクロエ様を貶め、ラニアン王国の尊厳に傷をつけようとしているのです!」
「ローズ黙りなさい!
私としては男女の関係を望んでおりましたが、機会に恵まれずにおりました。」
「ゴウ様、このように言っておりますが?」
「男女の関係はありません、私は政治的に男女の関係を持つことを好みません。」
「わかりました、クロエ王女、ゴウ様は政治的に関わる気が無いとおっしゃられる以上、私と交渉する事になる、問題無いな。」
「はい、わかっております。」
「ただし、ゴウ様の知り合いという事を考慮し、どのような発言があったとしてもこの場でのお前達の身の安全は保証しよう。」
クロエ達の安全が保証され交渉は始まるのであった。
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