第340話 同行者

「クロエ様、お供致します。」

クロエが駅に到着する手前でローズが駆けつけてくる。


「ローズ!貴女が何故!」

「ハーツ様の御命令にございます、騎士としてクロエ様を護衛しつつ、外交官としてゴウを説得せよとの事にございます。」

「ローズ、貴女にこの任務は無理です、すぐに帰りなさい。」

「クロエ様、私の身を案じてくれているのは光栄にございます。

ですが、私も騎士としての誇りがございます。

クロエ様を死地に見送るなど出来るはずがございません。

どうかお供を・・・」

「ローズ、貴女が何を考えているか知りませんが、今回は国の命運をかけた最後の交渉になるのです。」

「わかっております、だからこそお供するのです。」

クロエはローズに帰るように促すがローズは聞き入れようとしない。


「お前達何者だ!!」

そうこうしている間に魔王軍が現れクロエ達を取り囲む。

「ラニアン王国からの使者として来ました、ラニアン王国第三王女クロエ・ラニアンです。

軍の指揮官と交渉の場を設けてもらいたい!」

「少し待て!」

兵士は確認に走る。


「ローズ、こうなった以上、貴女にはついてきてもらうしかありません。・

ですがくれぐれも失礼の無いようにしてください。」

「勿論です、ラニアン王国の騎士として恥じぬ振る舞いを心がけます!」

ローズの気合いの入った返答に不安だけがつのる・・・


「クロエ王女、鬼軍指揮官アクラ様がお会いになられる、武器を預けついてきてください。」

「貴様ら騎士の私から剣を奪うつもりか!」

「ローズ!控えなさい。

大人しく剣を渡すのです!」

「しかし!いざという時に剣が無ければクロエ様をお守り出来ません!」

「これから魔王軍内に向かうのです、貴女に剣があった所でどれだけの事ができます?

私の言うことが聞けないなら今すぐ帰りなさい!」

「わかりました。

いいか、これは騎士の魂だ大事に扱え!」

ローズは渋々剣を手渡す、その様子を見るクロエは頭の痛い思いをするが、今はローズより魔王軍の相手が先である。


「お聞きしたいのですが、この地にゴウさんはお越しですか?

先日この建物を作ったと思うのですが?」

「ゴウ様の事を知っているのか?」

「はい、先日ゴウさんに庇護されていました。」

「そういえば、ラニアン王国王女が一度魔王軍を訪れたという話を聞いたことがあったな。」

「はい、一度ゴウさんと一緒にアクラさんにもお会い致しました。」

「・・・わかった、少し確認する。」

兵士は慌ただしく駆け出す、ゴウの名前が出た以上無視する訳にはいかないのだった。

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