第339話 降伏の使者
ラニアン王国がその方針を変更したとは知らない魔王軍はルデン前の駅に集結していた。
「ゴウ様がこのような場所に来なくてもルデンの一つや二つ跡形もなく消し去ってご覧にみせますが?」
指揮官のアクラの力強い声ではあるのだが・・・
「跡形もなくは止めて欲しいです、一応降伏を呼びかけ、なるべく住民に被害が出ないようにしてもらえませんか?」
「ゴウ様がお望みとあらばそういたしましょう。」
アクラは心強く引き受けてくれる。
「ラニアン王国に告ぐ、すみやかに降伏するがいい!
ゴウ様の慈悲により、命だけは助けてやろう!」
魔王軍からの降伏の声に住民達も混乱を起こしていた。
「国民の皆さん、落ち着いてください。
私がこれより使者として話し合いに向かいます。」
クロエが使者として魔王軍に向かおうとする。
「クロエ王女、危険にございます!
ここは外交官を立てて・・・」
「これ以上他者に任せて状況を悪化させる訳にはいきません!」
「それでも・・・」
「大丈夫です、魔族とはいえ降伏勧告してくる以上、必要以上に我々を害する気は無いと思います。」
「しかし、クロエ王女が行かなくとも・・・」
女性であるクロエが魔族に掴まったらと思うと国民の多くが心配していた。
「大丈夫です、話の解る方もいるはずです。
私はラニアン王家の人間として国民を守る義務があります!」
国民の多くがクロエの覚悟に喝采をおくっていた。
その裏では・・・
「ハーツ殿下、クロエ様が交渉に向かいます、せめて私も護衛につきたいと思います。」
「プレザ!行かないでくれ、魔族が来ていると思うと怖くて仕方無いのだ!」
ハーツはプレザに縋りつき離れようとしない。
「しかし、クロエ様をお一人で向かわせる訳にはいきません、それに向こうにはゴウもいるはず、顔を知っている私が向かえば有利に働く事もあるでしょう。」
「だめだ!行かせる訳にはいかない、クロエにはローズがいる、あの者をつければ問題無い。」
「ローズ殿ですか?たしかに昔からクロエ様の護衛をしていた女性でしたね。」
「そうだ、クロエが避難している時に随行し、ゴウとも面識があると聞く、クロエの護衛として適任者であろう。」
「たしかにゴウと面識があるのなら私より女性であるローズ殿の方が同情をしてもらえるかもしれません。」
「そうだとも、ローズに同行させる、だからプレザは残っていてくれ!」
ハーツの強い頼みと有りプレザは城に残る事を決めるのだった。
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