第332話 従うかどうか
「ミユキさん、なんであんな奴の肩を持つのさ。」
カツはマナブに会いに行く道すがらでもミユキに話しかけていた。
「カツくん、ゴウさんには敬意を払ってもらえますか?」
「あんなせこい奴に敬意?ムリムリ。」
カツは手を振りヘラヘラ笑いながら答える。
「そうですか、それなら此処から出ていったらどうですか?」
「出ていくも何も金を返さないといけないらしいし、それまでは居る予定だよ。」
「ならせめて滞在中ぐらい敬意を払ってください。」
「はいはい、わかりました。
それより、他の奴等の話って本当?」
「・・・はい。」
「マジか!リエさんはミユキさんの友人だろ、助けれなかったのか?」
「リエはゴウさんの命を狙っていました、それに生活の為に何人もの人を殺してお金を奪っていたみたいです。
私が擁護出来る話ではありませんでした。」
「じゃあ、マコトはどうなっているんだ!」
「マコトくんはゴウさんのいとこのカスミさんへの暴行とゴウさんの店の商品の横領の罪で捕まりました、どちらもゴウさんに関わる事ですので、減刑される事はありません。」
「うわぁ、バカな事をしてんな。」
「カツくんも気をつけてください、此処は日本じゃありませんし、ゴウさんだって何でも助けてくれる訳じゃ無いんです。」
「はいはい、わかりました。」
カツはわかっているのかわからないような軽い返事を返す。
「それではこの部屋にマナブくんがいますので、これからの事についてはマナブくんから聴いてください。
マナブくん、入りますよ。」
ミユキはノックをして部屋に入る。
「ミユキさん、御足労かけました、カツさんはじめまして、ゴウさんから店を任されているマナブです。」
「はぁ?中学生じゃねえか!」
マナブを見て出た言葉だった。
「そうです、ゴウさんに庇護されている人の多くが自分のクラスメイトでして、その縁から取り纏めをさせてもらっています。」
「なんだよ、俺に中坊の言うことを聞けっていうのか!」
「そういう事になります、私の事が嫌なら此処を出て稼いで来て貰っても良いですよ。
私の方からゴウさんに伝えておきます。」
「ふざけるな!」
「ふざけていませんよ、カツさんの事情は聞いていますが、絶対に此処で働かないといけない訳でもありません。
他で働いて借金を返すということも可能です。
ただ、此処の待遇と給料は良いですから。」
「給料が良いってどれぐらいだ?」
「時給銀貨1枚です。」
「えっ?銀貨1枚って日給ぐらいじゃないか?」
「そうです。
ゴウさんは私達の自立を促す為に高い給料で雇ってくれているんです。
ここ以外で稼ぐのは時間がかかりますがそれでも働く気が無い人を雇っても仕方ありません。」
「あーわかったよ、わかった、ここで働くよ。」
カツは給料を聞いてここで働く事にする。
カツもこれまで異世界で働いていたのである、銀貨1枚稼ぐ為に肉体労働を朝から晩までした事もある、それだけに時給銀貨1枚はどれだけ破格なのか身に沁みてわかっていた。
「それじゃあカツくん、マナブくんの言う事をちゃんと聞いてくださいね。」
話が纏まった事を見届けミユキは帰っていくのであった。
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