第330話 カツの引受

騎士団を訪れた俺はカツと対面していた。

「私は桐谷ゴウ、君の名前を聞いても良いかな?」

「村川カツです!ミユキさん、俺の事わかりますよね!」

俺が話しかけているのだが、カツは俺の隣にいるミユキの方に向かい声をかけている。

「カツくん、話しているのはゴウさんですよ。」

「いやそうだけど・・・」

「村川カツくんということはわかりましたよ、サンチェさん、この人の罪はなんでしょう?」

「不法侵入です、門をくぐらず城壁を越えて街に入った事により捕縛されております。

ゴウ様が身元を保証してくださるなら、罰金で済ませる事も可能です。」


「さて、それじゃあ少し話をしようか?」

「え、えーと、よろしくお願いします。」

カツは空気を読んだのか大人しく話し始める。


「カツくん、なんで門をくぐらなかったのかな?」

「駅を見て居ても立っても居られない無かったんです。」

「気持ちはわからないでも無いけど、城壁を越えなくても。」

「それは反省してます。」

「そういえば、城壁を越えるより門を通ったほうが早くない?」

「あっ、俺の貰ったチカラでジャンプで高く飛べるんです。」

「ジャンプ?」

「はい、竜騎士っていうチカラをもらったんですけど、高く飛ぶぐらいしかできないんですが。

竜騎士なら竜に乗るとか出来ても良いと思いませんか?」

「ああ、君もチカラを貰ったんだね。」

「ええ、ゴウさんもチカラを貰ったんですよね?

この駅もチカラですよね?

なんで俺の貰ったチカラとこんなに違うんですか?」

「君とはチカラを貰った人が違うからね、貰ったチカラも違う物になったんじゃないかな?」

「そんな羨ましいです・・・

そうだ!他の人、クラスメイトに会いませんでしたか?

みんな駅を見れば連絡してくると思うんです。」

「コウタくん、マコトくん、リエさんの三人には会いました、残念ながらマコトくんは犯罪を犯し収監され、リエさんは死刑に・・・」

「えっ・・・

それじゃあもうコウタとミユキさんしか・・・」

「そういう事です、コウタくんは教会に勤めております、近い内に会うことも出来ると思いますよ。」

「会うことができるって、俺は釈放されるんですか!」

「罰金を払えばになるそうですが・・・

まあ、それは私が立替えておきます、ゆっくりでも返してくれれば良いです。」

「えー、立替えるだけですか?此処はビシッと全部払ってくれても・・・」

「君とは初対面ですからね、ミユキさんのクラスメイトということもあって身元保証ぐらいはしますが君の犯した罪まで背負う気はありませんよ。」

「・・・わかりました、それでお願いします。」

少し不満そうなところがあるが一応の納得をした様子だった。


「サンチェさん、この子の罰金は幾らですか?」

「金貨5枚です、思惑がわからなかったから騎士団で捕縛しておりましたがゴウ様が身元を引受けてくれるなら、軽犯罪として処理しておきます。」

「わかりました。」

俺はサンチェに金貨5枚を渡しカツを連れて帰るのであった。

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