第328話 マーサの名声

聖域における売春宿の摘発、性病の治療が行われた事によりマーサの名声は上がっていた。


「聞いたか、第一王子のマーサ様が古の魔法使いゴウ様と協力関係を作り上げているそうだぞ。」

「聞いた、何でも性病が治った者が出たらしい。」

「不治の病だった、あの病気だろ。

そういえば、摘発された宿で蔓延してたとか。」

「聞いた聞いた、未許可の売春宿、しかも聖域で営業するなんて何を何を考えていたのやら。」

「行った奴の話だと、結構可愛い子がいたそうだけど。」

「それでも病気持ちとするのはな・・・」

第一騎士団サンチェの手によって情報は王都に流されており、風紀を正した第一騎士団、そしてそれを率いたマーサの聡明さに次期王に推す声が上がり始めていた。


「クルト陛下、次期王にはマーサ様願う声が高くなっております。」

「先日のリスクの失態からグランが有力だと思っておったが・・・

マーサの病はどうなっている?」

「現在の所、問題無いとの事にございます。」

「ゴウの所にいるのが幸いしているのか?」

「それはわかりません、ですがマーサ様がご健康ならマーサ様が王になるべきでは無いでしょうか?」

「マスカラ侯爵、これは難しい問題なのだ、軽々しく口を挟む話ではない。」

「わかっております、ですが後継者を決めねば国が乱れる事になります、どうか御検討願いたい。」

「わかっておる、だがリスクとグランも今更諦める事は出来まい、さてどうしたものか。」

マーサの活躍は喜ばしい事であり、王都の懸念が晴れた事も素晴らしい事である。

だが、後継者争いとなると非常に困った問題へと変化する。

これまで第二王子リスクと第三王子グランの二勢力の争いとなっていたのだが、第一王子マーサが候補になると第三勢力が発生する、もう少しでリスクの勢力が弱体化してグランが後継者に決まりそうだった所でのマーサの活躍は頭の痛い問題となってしまったのだ。


「マーサは王位を目指しているのか?」

「わかりませぬ、ですが国民の声が大きくなれば無視する事も出来ませぬ。」

病気を治すという目に見える成果を上げたマーサを国民は支持するであろう、それにゴウと仲良く話す姿が駅にて目撃もされている、すでに駅が生活必需品になっている以上、ゴウとの関係は国民生活に直結する問題である。


次期王がゴウと友好的な関係を構築出来ていることは重要視する問題であった。


「はぁ、何故兄弟で争わねばならぬのだ・・・」

クルトの苦悩は続くのであった。

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