第324話 リュウタと面談

「囚人出ろ。」

リュウタの牢屋の前に二人の騎士が来て扉を開けつつリュウタを呼ぶ。

「やっと来たか、さっさと出せよ。」

リュウタは当然かのように立ち上がり牢屋から出る。

「リュウタ!俺の助命も頼むぞ!」

「おうカツ、話はしておくよ。」

リュウタはヒラヒラと手を振る。


「囚人、手を後ろに回せ。」

「えっ?」

牢屋から出たリュウタは騎士に声をかけられるが咄嗟に反応出来なかった。

すると騎士は力付くで両腕を後ろで縛り、胴体にも縄を巻かれていた。


「いてぇ!何しやがるんだ!」

「来い!」

胴体に巻かれた縄を引っ張られ無理矢理歩かされる。

「てめぇら覚えてろよ!こんな扱いをしてたら問題になるぞ!」

リュウタが騒ぐも騎士達は無視をして面会する為にゴウが待つ部屋へと連行される。


「囚人を連れてまいりました。」

「入りたまえ。」

騎士達に連れてこられた部屋にはゴウと見知らぬ人が二人座っていた。


「ゴウ!さっさと助けろよ!」

「ゴウ様に失礼だぞ!」

連れてきた騎士はリュウタの膝裏を叩き強制的に座らせる。

「いてぇ!」

リュウタは悲鳴を出すが騎士は気にすることなく、リュウタを更に縛り身動き一つ取れなくする。


「おいゴウ!なんとかしろよ。」

「騎士さん気にしなくていいですから、リュウタくん口には気を付けて、」

騎士が再び殴りそうになっているのを俺は制止する。

「なんなんだよ、俺を助けに来たんだろ、さっさと助けろよ!」

「助けには来たんだけど、出来ることに限りはあるんだ。

リュウタくん、君は死罪になる予定だったんだよ。」

「えっ、死罪?嘘だろ、俺がやった事って、家族の頼みでリリカを連れ帰った事と、ちょっとリリカに手を出そうとしたけど、あれは金も払っていたし・・・」

リュウタの認識と実際の罪は違っていた、俺はチラリとサンチェを見る。

「囚人リュウタ、お前の罪は国賓として遇している御方の屋敷から人を誘拐した罪、またその娘を合意なく行為に及ぼうとした婦女暴行の罪、神殿が定める聖域内での売春行為の三つとなる。

どれか一つでも重罪である、死罪が確定している罪なのだが、ゴウ様の助命嘆願があり軽減される事になる。」

「脅かすなよ、結局無罪釈放になるんだろ。」

「リュウタくん、軽減されるだけだ、無罪釈放される訳じゃない。」

「なんだよそれ、使えねえ奴だな、それで俺の罰はどうなるんだ?」


俺の代わりにサンチェが答える。

「手足の一本を切り落とすか、奴隷として鉱山で働くかのどれかだ。」

「へっ・・・」

リュウタは思わず自分の手を触る・・・


「五体満足でいたいなら奴隷として鉱山に行く事を選ぶといい。」

「奴隷としてって、いつまでだよ!」

「死ぬまでだ、ただしゴウ様への配慮として多少の自由は認めよう。」

「多少の自由って・・・」

「鉱山町からは出れないが犯罪者同士での婚姻は認められる比較的軽い軽奴隷としての扱いをするように通達してやる。」

「待てよ!じゃあ何処にも行けないのか!」

「そうだ、だが八時間鉱石を掘った後は酒も飲める、ゴウ様に感謝するんだな。」

「いやいや、奴隷になんてなりたくない!」

「ならば手足を落とすか?

管理をしなくていい分、我々としてもそちらの方が助かる。」

「嫌だ!手足を失うなんて嫌だ!」

「嫌だと言っても始まらん、お前が選べ無いなら我々で決めるが?」

「ゴウ!助けろよ!」

「助けた結果だよ、本来死刑のところを曲げてもらっているんだ、これ以上の軽減は出来ない。」

「使えねえな!お前のチカラなら俺を助け出す事ぐらい出来るだろ!」

「たしかに出来るけど、罪を犯した君を其処まで助ける理由が無い、なんで誘拐なんてしたんだ?」

「そ、そりゃ家族が連れ戻して欲しいと言えば助け出してやるのが男だろ!」

「薬で眠らして連れて行くのが家族のすることか?」

「俺がしたわけじゃねえ!

俺は巻き込まれたんだよ、家族に頼まれて妹を連れ出した事がそんなに悪い事か!

売春宿で女を買った事が悪い事か!

あの店には他にも客が来てたはずだ!

俺だけ重罪になるのはおかしいだろ!」

リュウタは吠えるのだが・・・

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