第320話 捕縛

「な、なぁ、客の俺は大丈夫だよな?」

リュウタは不安になりながら質問する、自分は店にあった物を買っただけなのだ、ましてや禁止区域だったなんて知らなかったのだ。


「客とはいえ、行為におよんだのなら罪は免れない。」

サンチェは淡々と答えるのだがその傍ら手で合図を出し店主をはじめリンナとその友人達で客を取っていた者を捕まえていく。


「離して!私は何もしてないわ!」

入口の方からリンナの声が聞こえてくる。

「黙れ!ならば調べても問題あるまい。」

「そうよ、モルドに確認して、騎士のモルドよ!

モルドなら私の身の潔白を証明してくれるわ!」

リンナは助かりたい一心でモルドの名前を出すのだが、それを聞いたサンチェは少しため息を吐き・・・


「騎士のモルドか・・・おい、モルドから事情聴取をしろ、事と次第によればそのまま捕縛するように。」

「はっ!」

モルドを確認することになるのだった。

そして、抵抗して騒ぐリンナは縄で縛られ連れて行かれる事になるのであった・・・


「さて、この子はどうしようか。」

父親と姉が捕縛され、宿も営業出来る状態では無い。

「マーサさん、この子はどうなりますか?」

「この子は罪を犯してない以上、捕縛する事はありませんが、成人しているのなら自分で稼いで生活してもらう事になるでしょう。」

「成人ですか・・・」

この世界の成人は早い、そして、弱者を救う人がどれほどいるか・・・


「マーサさん、一先ずこの子は私が保護しても問題ありませんか?」

「ゴウさんが保護なさるなら問題ありません。」

「そうですか、それなら一度連れて帰りますが・・・」

未だに意識の無いリリカをどう連れて帰るか。

「マーサ様、すぐに馬車を手配致します、少女を我等騎士団が責任をもってゴウ様の御屋敷にお連れいたします。」

「ゴウさんそれでよろしいですか?」

「お願いします、サンチェさんありがとうございます。」

「礼には及びません、我々こそ、違法な犯罪者を捕まえる機会を頂け、感謝致します。」

サンチェは俺に礼をしてくれる。


俺達はサンチェが用意してくれた馬車でリリカを連れて帰宅するのだった。

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