第319話 痴れ者

「この痴れ者が!!」

部屋の状況を見たククリは怒りを露わにする、其処には少女がベッドに縛られ股間を剥き出しにしていたのだ。

ククリも状況がわからない程の子供でもない、今此処で少女が望まぬ事が行われようとしていた事は明らかだった。

そして、怒りのまま腰の刀に手が・・・


「ククリさん!斬るのは待った!」

俺の制止の声にククリの手が止まる。

「ゴウ様!なぜ止めるのですか!」

「ククリさんが怒りのまま斬ると別の問題になりかねない。

カエデちゃん、リリカさんの事をお願い。

リュウタくん、これはどういう状況か説明できるか?」

俺はカエデに恥ずかしい姿をさらしてしまっているリリカの対応をお願いする。

そのうえで俺はリュウタを問い詰める。


「ゴ、ゴウ、なんで此処に・・・」

「何かあれば戻って来るのは当たり前だろ、ましてや庇護下にある少女が拐われたなんて聞いたら駆けつけるだろ。」

「拐った訳じゃない、家に帰しただけだ!」

「じゃあ、今の状況はなんだ?

お前がやろうとしているのはレイプじゃないのか!」

「違う!俺は金を払ってる!

まさかお前も風俗も許さないなんて聖人のつもりは無いだろ。」

「たしかに君達中学生が風俗に行くことに倫理的に思う事はあるが、俺は君達の親じゃない、この世界で認められている以上、風俗については何か言うつもりは無い。」

「だろ!じゃあ邪魔するなよ。

まったく問題があるように言うな!」

「それでも俺のもとに逃げてきて、庇護下にある子を無理矢理連れて行って、意識の無い子にコトをおよんだ事を問題にさせてもらうよ。」

「家族の頼みなんだよ!お前は家族と引き離して満足か!」

「それなら何故無理矢理連れ出した、後ろめたく無いなら俺が帰って来てからでも話し合いは出来ただろ?」

「いや、だってそれだと・・・」

「反対されるとわかっていたんだろ。」

リュウタは後ろめたそうに顔を背ける。


「ゴウ様、先程その男が此処で風俗を行っていたと申しましたが、此処は風俗禁止地域にございます。」

後ろで話を聞いていたサンチェが俺に教えてくれる。

「えっ、そうなの?」

「はい、ここは教会に近く、風俗を禁止しておりまして、破れば店主を始め、関係者を捕縛し重い罰が降ります。」

「それほど重いの?」

「場合によっては死罪もある罪です。」

「風俗で死罪って重すぎない。」

「もちろん許可の有るエリアなら問題無いのですが、教会周辺は神を讃える場とされておりまして、神聖な子を成す行為を金銭でやり取りするなど穢れた所業として厳しく禁じられているのです。」

俺は話を聞きながら異世界との違いに驚きながら聞いていたのだが、リュウタの表情は段々と青ざめていくのだった・・・

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