第315話 連れ出し

「おいリンナ、まだリリカちゃんは帰らないのか?」

「場所はわかったのよ、今騎士団に連れ戻してもらっているところだから少し待ちなさい。」

「いったい何処にいるんだ?」

「あの駅よ、中に逃げ込んだのは間違い無いわ。」

「なんだ、駅にいるのか?それなら俺が連れ戻してやるよ。」

「えっ?中に入れるの?」

「俺は元々あそこにいたからな、舎弟もいるし連れてこれるはずだ。」

「それなら連れ戻してもらえる?私は駅の外で待ってるから、中から連れ出してきて!」

「いいぞ、だけど帰ったらヤラしてもらうからな。」

「いいわ、長々待ってもらったんだもん、少し強引でも仕方無いわ。」

「よし、ならすぐに行こうか。」

リュウタはリンナを連れて駅に向かう。


「おっ、いいところに、ゴンタちょっとこい!」

「リュウタどうした?」

「今ホテルに女の子を泊めてないか?」

「女の子?ああ、マナブが匿うとか言ってた子か、たしか名前はリリカちゃんがだったか?」

「そうその子だ、ちょっと連れてきてくれないか?」

「へっ?なんで?」

「おいおい、ゴンタ、お前は俺の言うことにいちいち確認すんのか?」

「いやいや、あの子はマナブが連れてきた子だからな・・・」

「お前、俺とマナブどっちの仲間なんだ?」

「そりゃリュウタだけど・・・」

「なに、変な事をしようとしてるんじゃないんだ、リリカの姉が妹に会いたいっていうだけなんだ、マナブのヤツ頭が堅いからちょっと会うだけでも無理の一点張りでさ、なあゴンタ、やってくれるよな?」

「わ、わかったよ、でも変な事はしないでくれよ。」

「俺が変な事をすると思うのか?」

「思わないけど・・・」

「ならいいじゃねえか。

おっと、それとリリカちゃんにら姉が来ている事は言うなよ。」

「えっ?なんで?」

「そりゃ可愛い子の驚いた顔が見たいからな、それぐらいの報酬が無いと俺もリンナに手を貸したりしないさ。」

「なるほど、リュウタはリリカちゃんが美少女だって知ってるんだな。」

「面識はあるからな。それより早く行ってこいよ。」

「わかったって、そんなに急かすなよ。」

「俺も暇じゃ無いだよ、ほら急げ!」

リュウタはゴンタを急かしリリカを連れ出させる。


「リリカちゃん、ちょっといいかな?」

「はい?」

ゴンタが部屋を訪ねるとリリカは扉を開く。

「ちょっと手伝ってほしいことがあるんだけど、来てくれないかな?」

「お手伝いできるんですか!はい、喜んでお手伝いします。」

リリカは何もせずに保護されている事に引け目があった、ゴンタの言葉に目を輝かせていた。

「じゃあ、ちょっと来てもらえるかな?」

「はい、ありがとうございます。」

保護されてから此処にいる人達の優しさに触れ警戒心が薄れていたリリカはゴンタが裏口に案内していることに気づかなかった・・・


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