第311話 事情確認
「えーと、キノコ亭の事については知っていますか?」
「いや、今聞いたばかりだが・・・
いやリュウ・・・知り合いが泊まっていた宿の名前だったか?」
「それならそこから説明します、私のお父さんがやっている宿なんですが・・・
その、男女の営みというか、連れ込み宿というか・・・」
リリカは恥ずかしそうに説明する。
「なるほど、言いたいことはわかった。
だが、それで何故姉に追われる?」
「私が客を取ることを拒んだんです。」
「客を?」
「はい、私は身体を売りたくないんです!宿のお手伝いならいくらでもやりますけど、男の人に身体を売るつもりは無いんです。」
「本人が望まないならしなくても・・・
まあご家庭の事情があるのかも知れないが。」
「お父さんも嫌ならしなくて良いって言ってくれてたんです、でもお姉ちゃんは一人前の女になるには必要な事だ、なんて言ってお父さんを説得してしまって・・・」
「それはおかしいだろ、それなら本人の意志を尊重しても良いはずだ、お父さんは説得できないのか?」
「はい、お父さんも考えが変わったみたいで乗り気になったみたいで、話を聞いてくれなくて・・・」
「それで逃げてきたと。」
「はい、此処には古の魔法使い様が居て、そのお慈悲にすがれば助けてくれるかと思って・・・」
「言われる通り、ゴウさんは優しいから事情を知れば保護してくれると思うな。」
マナブはアユミと目を合わせ、アユミも頷き同意する。
「お願いします、どうか古の魔法使い様にお取次ぎをお願いします。」
「わかった。
とはいえどうしたものか、ゴウさんは今不在だしな・・・
列車に乗る時にリンナに見つかると面倒な事になるな。」
「ホテルで匿えば良くない?
ホテルなら私達ぐらいしかいない、セキュリティもしっかりしてるから中に入れないでしょ。」
「たしかにそうだな、リリカさん。
ゴウさんに連絡がつくまでの間此処に泊まって行って下さい。」
「いいんですか!」
「ええ、ゴウさんを頼ってきた人を突き放す真似は致しません、暫くの間不自由になりますが此処に滞在してください。」
「ありがとうございます!」
「いえ、感謝はゴウさんにお願いします、私達もゴウさんにお世話になっている身ですので。」
「ゴウ様に感謝を捧げます。」
リリカは両手を合わせゴウに祈るように感謝の言葉を述べる。
「アユミさん、聞いてのとおりだ、トーアにいるゴウさんに連絡をしに行ってくれないか?」
「わかったわ、事情を聞いた私が行くのが一番だもんね。」
「助かる、ついでに病気療養の奴等の状態も確認しておいてくれないか?」
「はーい。」
アユミはヒラヒラと手を振りながら承諾する。
アユミはそのまま自室に帰り簡単な準備をしてトーアに向けて出発するのだった。
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