第310話 姉妹喧嘩?

「助けてください!!」

「えっ?」

駅で働くマナブの所に一人の少女が駆け込んでくる。

「どうしました?」

「お願いします!匿ってください!」


「リリカ!リリカ!何処に行ったの!」

誰かを探すような大きな声が聞こえる。


「きた!お願いします!」

震えながら青い表情を浮かべる少女リリカから緊急性を感じる。


「事情はわかりませんが一先ずこちらに、アユミさん、休憩室に彼女を連れて行ってもらえますか?」

「わかったわ!」

マナブとの会話を聞いていたアユミがリリカを奥にある休憩室へと案内する。


「ちょっと、ここに女の子が来なかった!」

「女の子ですか?店をしてますので何人も来てますが?」

「違うの!美少女よ!13歳の女の子!」

「それだけだとわかりませんね、色んな方がお越しくださいますから。」

マナブはリリカの事だと気づいてはいるがしらを切る。


「じゃあ、逃げてる美少女が来たらキノコ亭に連絡しなさい!」

「そのようなサービスは行っておりませんが、誰かが来たら気にするように致します。」

「あー!もう融通がきかないわね!!」

「ルールで決まってますので、それ以外の事は出来ないのです。

それより、他のお客様の迷惑になっております。

騒ぎを起こすのは控えてもらえないでしょうか?」

「なによ!うるさいわね!」

「あまり騒ぎを起こすようなら出入り禁止にさせていただきますが?」

「わかったわよ!また来るからその時は来たかどうか教えなさい!いいわね!」

女はしぶしぶと帰っていく。


「マナブ、あの女は帰った?」

アユミは騒ぎがおさまった事の確認に来る。

「あの子は?」

「奥でイクミが見てるわ。」

「一先ず匿ったが事情が知りたい少し話してくるから店を頼む。」

「ちょ、ちょっと私も気になるわよ!シュウゾウくんお店をよろしく!」

マナブとアユミは事情を聞くために休憩室にいるリリカの所に行く。


「あっ、ご迷惑をかけてごめんなさい!」

マナブの姿を見るなりリリカは頭を下げる。

「何か事情があったのはわかります、よければ事情を教えてもらえませんか?」

「はい、私は宿屋のキノコ亭の娘のリリカと言います。」

「キノコ亭、さっきの女も言ってたが追っていた女も関係者なのか?」

「はい、姉のリンナと言います。」

「姉だったのか?まさか姉妹の喧嘩の末逃げてきたのか?」

「待ってください!姉妹の喧嘩と言えばそうかもしれませんが事情があるんです!」

マナブが姉妹喧嘩という結論に辿り着く前にリリカが制止するのだった。

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