第309話 治療の検証
マーサは王都に行ったのだが、1週間で戻ってきていた。
それも多数の人を連れて・・・
「マーサさん、その人達は?」
「病気になっている者達だ、ゴウさんの所で治療出来ないだろうか?」
「良いですよ、それでは皆さんを治療院に案内します、中にいるラクーンの指示に従って治療をしてください。」
俺は治療院に案内する。
「マーサ殿下、あれは遊園地のマスコットというものでは無いのですか?」
ラクーンの姿を見て困惑する者もいた。
「ゴウさんが作る物にはラクーンが付随するようだ。
それよりマスカラ侯爵、マスコットだからと侮らずちゃんと指示に従って治療するのです。」
「わかりました、このマスカラこの身で検証致しましょう。」
「しかし、マスカラ侯爵が治療の検証に手をあげるとは思いませんでした。」
「・・・このマスカラ、国の為に身を捧げております。
此度の政策は多くの者達の希望となるのです、その礎になれるなら喜んでこの身を検証に使いましょう。」
「それで本心はどうですか?」
「早く治したいです。」
「最初からそう言えばいいのです。
しかし、何も最初に検証に来なくとも良かったのですよ。」
「検証が終わればこの治療院は一杯になるでしょう。
その時に治療を始めれば時間がかかるのは目に見えております、私は長い時間待ちたく無いのです。」
「マスカラ侯爵、そう思うなら以後は病気にならぬようにしなさい。」
「肝に命じておきます。」
マスカラは第一王子マーサを支持する数少ない貴族ではあるのだが、女性グセの悪さが仇になり病気を抱えしまっていた。
今回のマーサの提案にマーサの政策の後押しになればと自ら志願しゴウの治療を受ける事にしていたのだ。
「それで診察はどうなった?」
診察後マーサはマスカラに確認を取る。
「はい、飲み薬や腕から薬品を注入いたしましたが2週間程で治るようにございます。」
「マスカラ侯爵も2週間か、多くが2週間と言われるのは何故だ?」
「何やら目に見えぬ生き物が病気を引き起こしているそうで、それを死滅させる為に必要な期間だと伺いました。」
「伺った?ゴウさんにか?」
「いえ、ラクーン医師にございます。」
「ラクーンと話したのか?」
「ええ、聞けばすぐにお答えくださいました、これほどわかりやすい治療はありませぬな。」
マスカラが言うように多くの治療院では魔法を使い治す為、魔法を唱えて終わりというところが多い、何かを聞いても神の御加護か、自身の魔法の強さを誇るだけであり、どうやって治したかまで話す者はいなかった。
「ふむ、たしかに自分がどんな状態か、どうやって治ったのかは気になる所ではあるな。」
「はい、話を聞く限り、しっかりとした理論の下に治療を行っている事を感じました。」
「わかった、マスカラ侯爵、これからも治療を受けてくれ。」
「はい、しかと記録に残しておきます。」
マスカラは受けた治療内容、そしていた自分の症状などを詳しく記載した報告書を後日提出する、それは多くの人の希望の道標になるのであった。
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