第303話 宿
「ゴウさん、ここって日本の旅館じゃ?」
「作れたから、温泉はこの町の天然かけ流しだから。」
ナオコは日本の高級旅館に案内された事に固まっていた。
「ナオコ、ここの食事は和食だからね、期待してて!」
「カスミ、私が気にしているのはそこじゃ無いからね。」
王都で止まっているホテルも高級だが、馴染み深い旅館には更に心が躍るものがある。
「かなり趣きが違う宿ですね。」
マーサも興味深く周囲をキョロキョロと見回している。
「ここは日本式の宿です、少しルールが違うのでこちらのラクーンから説明してもらったほうが良いですね。」
俺が視線を向けるとラクーンがマーサに宿の使い方を教える。
「なるほど、部屋に入る時に靴を脱ぐのですか。」
マーサは真剣に聞いていた、キグルミのラクーンから教わるその姿は王子とは思えないものだった。
俺達が一休みしている時、王都では・・・
「うわ!股間から膿が出てきた!!」
リュウタが悲鳴を上げていた、冒険者として少し稼いでは大人のお店に向いその日暮らしをしていたリュウタだが、股間から膿が出た事に青い表情を浮かべていた・・・
「こ、これって何かの病気か?
いやいや、異世界で性病なんて話聞いたことが無いぞ、たまたま何かの雑菌が入っただけだよな。」
不安になりながらもこんな時どうすれば良いのかわからない、ケガをすればポーションで治る世界だ、医術があまり発展しているようには感じなかった。
リュウタは相談したくとも性病にかかったなんて知られたく無い、同級生達に知られればどこまで噂が広がるかわかったものじゃ無い、ましてカスミに知られる事だけは避けたい気持ちがあった。
幸い股間の膿は1週間程度でおさまった為、リュウタは一安心するのだが・・・
「ねえ、リュウタお願いがあるんだけど?」
宿の看板娘リンナから相談を持ちかけられる。
「なんだよ、夜のお誘いか?」
「まあ、それなんだけど〜
リリカの初めての客にならない?」
「リリカちゃんって!お前の妹の?」
「そうよ、あの子もそろそろお客を取る歳なんだけど、最初の相手ぐらい歳の近い子が良いと思うんだ。
幸いリュウタは顔もいいし、金払いも悪く無いし、ずっと泊まっているからリリカとも面識あるでしょ?」
「でも、リリカちゃんって何歳だ?」
「もうすぐ13よ、まあリュウタが嫌だっていうなら他に話を回すんだけど?」
「待て待て、嫌だなんて言ってない!」
リュウタはリリカを思い出す、多少幼いとはいえ、自分とは2歳ぐらいの差である、そして何より美少女である、姉のリンナは美人系であるがリリカは可愛い系の美少女なのだ、その子を自分の手で大人に出来るのは・・・
リュウタは想像し、思わずよだれが出そうになる。
「わかった、いくらだ?」
「銀貨5枚、初めては少し高いけど、宿のお得意様のリュウタだからこその提案よ。」
「わかった、払う。」
ここ何日か股間の膿の為、大人のお店に行かなかった為、資金は少し余裕があった。
「あっ、でも少しだけ待ってね、13にならないと色々問題があるのよ。」
「へっ?肩透かしかよ。」
「仕方無いでしょ、法で決まっているのよ、でもあと一ヶ月の話だから、それまで楽しみにしてなさい。」
「わかったよ、じゃあ、今晩はリンナが相手してくれよ。」
リュウタは銀貨を1枚机に置く。
「まいど〜」
リンナは銀貨をしまうとリュウタを連れて部屋へと向かうのであった・・・
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