第297話 王女の帰還
「ゴウ様、よくぞお戻りくださいました。」
城に着くとクーラ自身が出迎えてくれる。
「無事御息女ククリさんをお連れしました。」
「ククリの事はお気になさらずとも大丈夫です、ですがゴウ様がお戻りになられた事を魔族の長として歓迎いたします。」
「もう少しククリさんの帰宅を歓迎してください!」
「ゴウ様がそこまで仰るなら・・・
ククリ、しかと寵愛をいただけたか?」
クーラはゴウの言葉に従いククリに
「まだにございます、本日は立ち寄っただけ、今暫し時を頂きたいと思います。」
「くれぐれも無理強いはしないようにな。」
「はい。誠心誠意お仕えして寵愛をいただきます。」
クーラとククリの会話は普通の親娘と思えない物だった。
「クーラさん、もう少しククリさんを大切にしてあげてください。」
「そうですか、あらばゴウ様、どうかククリにお寵愛を頂けませぬか。」
「なんでそうなるんです!」
「女の幸せは好きな男と結びれる時にございます。」
「ゴウ様が、どうか不束者ですがよろしくお願いします。」
「落ち着いてククリさん。」
「落ち着いてますよ、さあお部屋に参りましょう。」
ククリは笑顔で俺の手を握り部屋に連れて行こうとする。
「ククリさん、そういう事は準備ですよ。」
ミユキがククリの手を掴みニコリと笑いながら話す。
「はぅ、ミユキ様お見逃しを、ご寵愛を頂ける機会は中々巡ってこないのです、今なら場の流れで押せる感じなのです。」
「確かにゴウさんは場の雰囲気に弱いですけど、準備があるんです。」
「はぅ・・・
そうだ、それならミユキ様もご一緒にまいりませんか?」
「えっ?」
「大丈夫です、ベッドは大きいので5人ぐらい乗っても大丈夫です。」
「え、えーと、それなら・・・」
ミユキは少し考えククリの手を離したかと謂うとククリが持つ手の反対側を握りしめる。
「ちょっ!ミユキさん?」
「ゴウ様、ミユキ様こちらになります。」
俺はククリに手を引かれ魔王城の奥へと連れて行かれる。
「クーラさん!!」
俺は助けを求めるためにクーラに声をかけるのだが・・・
「ゴウ様の奮闘を期待しております。」
当代魔王は笑顔で手を振り、俺が攫われていくのを見送るだけであった・・・
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