第296話 緊急事態

「最低・・・」

相談を持ちかけたナオコから出た声は軽蔑であった・・・

それも仕方無いかも知れない、男子を確認したところ、ハジメを含めて四名がそういった店に行った事があると判明したのだ。


「最低なのは認める、だが見捨てる訳にもいかない、なんとか出来ないか考える必要があるだろう。」

「この世界の治療だと、暫くしたら治るって言ってる人もいたけど・・・

信じたら駄目だと思う。」

「日本でも昔はそんな事を言われていたからな。」

「・・・やっぱりゴウさんに相談するしかないんじゃないかな?」

「魔王国に出向いたばかりだぞ。」

「それでも治せる可能性があるのはゴウさんじゃ無いかな?」

「どちらにしても報告は必要だな、ナオコ、ゴウさんから預かっているフリーチケットがある、これを使ってゴウさんに報せてもらえないか?」

「私が?魔王国に行くの!」

「僕が行けたら良いのだが、ゴウさんに任された店を放置する訳にもいかないだろ?」

「そうだけど・・・」

「魔王国の首都イーヨへの行き方はルートさんの領地トーアから魔王国の港ポメに向かい、そこからはイーヨへの電車が出ているそうだ。」

「ちょ、ちょっと待ってよ、そんなにすぐに覚えられないわ。」

「ちゃんとメモを渡す。

あと、これは路銀だ。」

マナブは金貨の入った巾着を渡す。

「金貨20枚?こんなに?」

「旅先で何か合ったら不味いからな、なるべく無駄遣いするなよ。」

「しないわよ。」

「宿はゴウさんの施設ならそのチケットで泊まれる、気を付けて行ってきてくれ。」

「わかったわ、必ずゴウさんに伝えてくる。」

「頼んだ、ナオコさんなら大丈夫だとは思うが安全第一で行ってくれ。」

「わかってるわよ、日本とは違うって思ってるわ。」

「特にゴウさんの施設から出た時は特に気を付けて欲しい。」

「わかってるって、じゃあ旅の準備をしてくるわ。」

「必要な物があれば言ってくれ。」

「お願いするわね。」

ナオコは旅の準備を手早く済ませ、翌日にはゴウに会うために旅立って行くのであった。

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