第293話 イーヨに着くと

「ゴウ様、よくお戻りになってくださいました。」

俺がイーヨに付くなり、多くの魔族が出迎えてくれる。

「よく私が帰ってきた事がわかりましたね。」

「ゴウ様のお乗りになられている列車は見た目が違いますのですぐにわかります。」

言われて気付くがたしかに通常運行に使用している特急列車などと違い豪華列車で移動している、駅に着いた時点でバレバレであった。


「言われる通りですね、でもワザワザ出迎えてくれなくてもいいんですよ?」

「何をおっしゃいますか!ゴウ様とミユキ様の御尊顔を拝する機会なのです、此処に集まった者達はその幸運を喜んでいるのです。」

その言葉の通り、俺を見て跪き拝んでいる人まで出ている。

「恥ずかしいものがあるので拝むのは止めましょう。」

俺は跪いている人の手を引き立ち上がらせる。


「ああ、勿体無い、勿体ない、私のような者にお触れになるなんて・・・」

「いやいや、私は対した者ではありません、拝まれるような事は何もしてませんから。」

「何をおっしゃいますか、ゴウ様のお陰で各地の町との交流が盛んになり、地方の私達も聖地巡礼が可能になったのでございます。

これを感謝せずに魔族は名乗れません。」

「喜んでくれているなら良かったです、ですが恥ずかしいので拝むのは止めてください。」

「はい、肝に命じておきます。」

と言いながら既に拝んでいるのはもうどうしようも無いのだろうと思うことにした・・・


「ゴウ様、馬車の準備が出来るまで駅にてお待ちください。」

俺が囲まれている間にククリが馬車の手配をしていたのだが・・・

「折角だし町を歩こうかな、ミユキさん達はどうする?」

「私達もついて行きますよ、ねっ?」

「もちろんです。」

「私も歩いてみたいです。」


「という事で散策がてら町を歩いて城に向かいます。」

「わかりました、すぐにそのように連絡しましょう。」


イーヨは長年魔王国の首都として栄えていた為にかなり発展している。

そんな町並みに異国情緒を味わいながら散策するのは中々に楽しいひとときである。


「あそこでお茶にでもしようか。」

暫く散策したあと、喉が渇いたので見かけた喫茶店に入る。

「ゴウ様!ミユキ様!」

店に入ると店長を始め、客に至るまで全てが驚きすぐに膝をつく。


「それはいいから、席は空いているかな?」

「もちろんです!」

店長の答えが早いのか客の動きが早いのか、窓際の一等席らしい所が凄い勢いで片付いていく。


「無理に席を空けなくて良いよ、俺は何処でも良いと思うし。」

「そのような訳にはいきません!」

「そうです!ゴウ様達を差し置いて一等席に座るなど、御先祖様に顔向け出来なくなるなります!」

「あー、それじゃあお言葉に甘えさせてもらうよ。」

お客だった者達すべても凄い勢いでウンウンと首を振っているので俺はお言葉に甘えて席に座るのだった。

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