第291話 傷心
ジョージア王国に滞在して一ヶ月が経つ、リエの死はミユキの心に大きな傷を残しており、心の傷が癒えるまではと王都に滞在しながら日々を過ごしていた。
「ゴウ様、ミユキ様のご心痛を和らげる為にも別の地に向かった方が良いのでは無いでしょうか?」
暗い雰囲気が流れる中、ククリが提案してくる。
「それもいいかも知れない。」
亡くなった地にいつまでも滞在するのは引きずってしまうのかも知れない、ここは一度離れてみるのも良いかも知れない。
俺はミユキに提案する。
「別の場所にですか?」
「ええ、どうでしょう?」
「・・・すいません、気を遣わせてしまっていますね。
いつまでもリエを思って過ごす訳にもいきませんし、ゴウさんのお好きな所に付いていきます。」
ミユキが無理に笑顔を作ろうとしているのはわかるが今は気を紛らわせる事が大事だと考える。
「じゃあ、魔王国に行こうか、ククリさんを連れているし、顔を出すもの良いと思うんだ。」
「そうですね、ゴウさんのお店も任せていますし、様子を見る為にも行きましょう。」
ミユキもこのままではいけない事はわかっている、俺達は再び魔王国に向かう事にする。
「魔王国に向かうのですか?」
俺はルートに魔王国行きを説明する。
「ええ、ククリも連れていますし、ずっとこちらにいる訳にもいきません。」
「流石は魔王、いい手を打ってくる・・・
ゴウ様、少しお待ちください、我が国からも同行者を送る事になると思います、どうか人選のお時間をください。」
「いえ、そこまでは・・・」
「お願いします。」
ルートには随分と世話になっている、俺は無碍に断る事も出来ず、少し待つことになる。
「魔王国に向かう人選か・・・」
ルートの報告にクルトは頭を悩ませる、帰国したばかりのアリサを再び同行者として送り出すには理由が弱い、あからさまに取り込もうとする姿勢が見えすぎるのも他の貴族の手前難しいものがあった。
とはいえ、ルートも同行者として帰国したばかりである、領地の急激な発展により、海を越えた魔王国に行くには難があった。
「ルート、申し訳無いのだが、再びゴウとともに行ってもらえぬか?」
「はっ!光栄な事にございます。」
「お主の領地については重々承知している、国からも文官を派遣し問題無いようにしておく。」
「お心遣い感謝致します。」
「度重なる命令、すまぬな。」
「いえ、ゴウ様と行動をともに出来る栄誉をお与えくださり感謝致します。」
クルトは申し訳無い気持ちを持ちながらもゴウとともに向かえる人材の少なさに頭を痛める、魔王国がゴウとの接点を深める中、ゴウとの接点がルートだけというのは心許無い。
せめて前回の使節の時にアリサに手を出してくれていたらと思うのであった・・・
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