第290話 リエの・・・

「腕利きの暗殺者がいる?」

「はい、死刑を待つ身ではありますが、その実力に疑いはございません。」

捕縛されていたリエの話は謹慎中のリスクの耳に届いていた。


「優れた暗殺者は使うところがあるが、首輪をつけることは可能なのか?」

「我等に歯向かえぬよう、隷属の魔法で縛ります。」

「よし、密かに召し抱えるように動け、くれぐれも私の関与を疑われぬようにせよ。」

「はい、お任せあれ。」


「おい、囚人、お前はこのまま死刑を受け入れるか?」

「誰だいアンタは?」

「お前の暗殺者としての腕を買いたい、私に従うなら牢屋から出してやろう。」

「そんな事ができるの!」

「可能だ、ただし外に出す際に私達に危害を加えないように魔法で縛らせて貰う。」

「わかった!私はこんなところで死ぬ気なんてないの!」

「ならば契約成立だな。」

「ああ、それで貴方の名前は?」

「私はアポロ、とある高貴な御方にお仕えする者だ。」

「アポロさんに感謝を。」

リエは思わぬ救いの手に縋り付くのだった・・・


「リエさんの死刑が執行された?」

俺の所にリエの死刑が行われたとルートから報告があった。

「はい、急に執行が決まったみたいでゴウ様へのご連絡が遅れたこと、申し訳なく思います。」

「いえ、最後の別れを 済ませる時間を頂けた事を感謝致します。」

俺が黙祷するのに合わせてルートも黙祷を捧げる。


「遺体はどうなるのでしょうか?

問題なければこちらで引き取り弔いたいのですが?」

「申し訳ありません、既に重犯罪者として遺体と遺品は処分したとの事でした。」

「そうでしたか、いえ無理を言うつもりはありません、同郷の者がご迷惑をおかけしました。」

俺はルートに礼をして、リエの結末をミユキに話に向かう、覚悟はしていたとはいえ、友人の死にミユキは号泣し、俺は一晩中寄り添うのだった・・・

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