第287話 リュウタの冒険
「クソが!」
リュウタは見えない壁を蹴るが何も変わることは無い、一応手元に金は持っていたので宿に泊まるぐらいは出来る、だがせめて着替えとロングソードぐらいは持っていきたい、リュウタは暫く駅前で待ち、他の同級生が通りがかるのを待つのであった。
「ったく、無駄な時間をくったぜ!」
少し日がかけたぐらいにやっと同級生のハジメが通りかかり、荷物を持ってこらせる事に成功した。
「おっ、宿屋はここか、邪魔するぜ。」
リュウタは冒険者から聞いていたおすすめの宿屋に来ていた。
「なんだ兄ちゃん、客か?」
「当然だ、一泊いくらだ?」
「銀貨1枚朝食付きだ、夕食は別料金で銅貨3枚、酒は別料金だ。」
「わかった、取りあえず5泊と今晩の食事を頼む。」
リュウタは銀貨5枚と銅貨3枚を渡す。
「まいど、リリカ客だ部屋に案内してくれ。」
「はーいお父さん、お客さんこっちです。」
小学生ぐらいの女の子が奥から現れリュウタを案内してくれる。
「お客さん冒険者ですか?」
「まあな、まだなったばかりだが。」
「そうなんですね、新人冒険者さんは帰って来ない事がよくありますので、もし連泊が終わった時に残された荷物は3日後に廃棄とさせてもらいます。」
「わかった。」
「くれぐれもお気をつけてください、それではこのお部屋になります。
本日は当宿をご利用していただきありがとうございます。」
リリカは深く頭を下げて戻って行く。
その後ろ姿を眺めながら・・・
「可愛い子だな、宿の看板娘って奴か。
さて、此処から俺の異世界生活が始まるんだな。」
リュウタとて異世界転生の話はアニメなどで知っている、見知らぬ地で冒険者になり、美少女がいる宿に泊まる、まるで物語の主人公になっているのでは無いか、そんな錯覚を覚えていた。
そんな意気揚々で部屋に入るのだが・・・
「えっ、ショボくない?」
部屋に入るなり狭い上にベッドが置かれているだけの部屋、ベッドも藁に布を被せただけの物に見える。
これまでホテル暮らしだったリュウタには最低な宿に思えるのだった。
「いやいや、落ち着け、此処は異世界なんだ、最初はこんな物だろう、きっとこの店は飯の美味い店なんだ。」
リュウタはよくある、宿の料理の美味しさに期待する、きっと美味い飯に感動している所にリリカがやって来るイベントがあるに決まっている。
リュウタは期待に胸を膨らませて、夕食の時間を待つ。
「味気無い・・・」
ホテルで美味しい料理を食べ続けていたリュウタに取って普通の宿で出される飯は調味料がほとんどかかっていない素材の味しかしないように感じる、それでもこの店はまだ調味料を使っている方なのだが、リュウタの舌からするとありえないぐらい薄味だったのだ。
リュウタは美味しさをあきらめ、腹を満たす為だけに料理を腹に流していく。
「お兄さん、豪快な食べっぷりだね。」
さっきまで給仕をしていた女性が隣に座ってくる。
「なんだ?」
「なんだとはつれないね、私はリンナ、この宿の娘さ、それで最初だしサービスで銀貨1枚でどう?」
「銀貨1枚?」
「そうよ、お兄さんも知ってて来たんでしょ?」
リンナの妖艶な手はリュウタの太ももをなぞり、股間を刺激する・・・
「いや、し、知らなくて・・・」
「あら、知らなかったの?でも、此処はそういうサービスもやってるの、貴方は若いし格好いいからサービスしちゃうわよ。」
リュウタの首筋に息を吹き掛ける。
「お願いします!」
リュウタは銀貨1枚をリンナに渡す。
「ふふ、それじゃあ部屋に行きましょ。
お父さんお客様入りました。」
リュウタはリンナに連れられ自室へと、大人の階段を登るのであった・・・
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