第286話 追放
「なんだよ、アンタが俺を呼び出すなんてな。」
「リュウタくんに聞きたいことがあって来てもらったんだ?」
「はあ?俺に聞きたいこと?」
「単刀直入に言うよ、リエさんと共謀して俺を誘き出そうとした?」
「なっ!」
一気に変わる表情が全てを物語っていた。
「わかった、それが答えだね。」
「お、俺は何も言っちゃいねぇよ!」
「全てが顔に出ているよ、俺は自分を殺そうとした者を庇護するつもりは無い、俺が所有する施設への立ち入りを禁止させてもらう。」
「なんだとてめぇになんの権利があるって言うんだ!」
「権利って、俺の所有の施設といったよね?」
「駅は公共の物だろ!一人の物じゃねえよ。」
「残念だけど此処は日本じゃ無い、駅は俺が所有していて立ち入り制限も俺が出来る。」
「やれるもんならやってみろよ!」
「そう?じゃあこれより君の立ち入りを禁止する。」
俺はリュウタの立ち入りを禁止するとリュウタの姿が消える。
「リュウタくん・・・」
カスミは消えゆくリュウタを複雑な思いで見つめていた。
「なんだここは?何で外にいるんだ?」
リュウタは自身が何故外にいるかわからない、さっきまでゴウの前にいた筈なのに自分だけ一人駅の入口に立っていた。
「何なんだよ・・・」
リュウタは駅に戻ろうとするが・・・
ゴン!
「いてっ!」
見えない壁があるかのように中に入ることが出来ない。
「おい、マジか!本当に立入禁止にしやがったのか!」
リュウタは見えない壁に蹴りを放つが揺るぐ事はない。
「あれ?リュウタどうしたの?」
近くの飲食店でバイトに言っていた同級生のアユミが駅の入口で片足を上げているリュウタに声をかける。
「いや、駅に入れなくなっているんだ。」
「駅に入れないって、なんかしたの?」
「たいしたことはしてねぇよ!」
「ふーん、まあいいけど・・・」
「おいアユミ、俺の荷物を取って来てくれよ。」
「うーん、い・や。」
「はぁ?なんでだよ!」
「リュウタ、ゴウさんに何かしたんでしょ?」
「なんでそうなるんだ!」
「だって、優しいゴウさんが立入禁止にした人ってゴウさんを殺そうとしたリエさんぐらいなんだよ、つまりリュウタはゴウさんを殺そうとしたのか、危害を加えようとしたんでしょ?」
「なっ!お前にそんな事関係ないだろ!」
「関係あるよ、リュウタに手を貸したなんて思われたら私も追放されるかもしれないじゃん。」
「お前は同級生を見捨てるって言うのか!」
「まあね、そもそも私達仲良しってわけでも無いし〜」
「てめぇ!」
リュウタはアユミに殴りかかろうとするが既にアユミは駅の入口をくぐっていた為、リュウタは近付く事も出来ない。
「残念ね。」
「くそっ、卑怯者が!」
「あっそうだ、リュウタ知ってる?」
「なんだ?」
「追放されたリエさん、殺人鬼として捕まったんだって、リュウタも捕まらないようにしなよ〜」
アユミはヒラヒラと手を振りながら自室へと帰っていくのだった。
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