第285話 共犯者
リエの逮捕を聞き、リュウタは簡単に信じる事は出来なかった。
「あの人が人殺しなんて嘘だ!
俺は命を助けられたんだ、きっと他の奴らも助けようとしたに決まっているんだ!」
リュウタは他の同級生を煽ってゴウに助命嘆願を出させようとするのだが・・・
「リュウタの気持ちはわからなくもないけど、お世話になっているゴウさんの迷惑になるような事はできないかな?」
「そもそも、ミユキさんが側にいるから助けようとはしたはず、俺達が口を挟む話じゃないかな。」
友人達の反応は鈍かった、当初日本人のリエが逮捕された話は一気に話題になったのだが、人殺しをして金銭を得ていたと聞くとリエに対して同情する者はいなくなっていたのだ。
そんな中、ゴウの所にルートがやって来る。
「ルートさん、今日は稽古の日では無かったとおもいますが?」
「はい、ゴウ様にお話があって参りました。」
真剣な表情のルートに俺は身を正す。
「お伺いします。」
「ゴウ様の下で庇護なされている、リュウタと言う者が先日捕まったリエと共謀してゴウ様の暗殺を謀っていた事が判明しました。」
「リュウタくんが俺を暗殺?」
「はい、手口はリュウタがゴウ様を駅の外に連れ出し、リエが潜む場所に案内するというやり方です。」
「たしかにリエの能力なら油断していたら危ないですね。」
「はい、リエを捕縛する為に多くの者が亡くなりました、仮にゴウ様が狙われていたかと思うとゾッとします。」
「しかし、リュウタくんが俺の命を狙っていたなんて・・・」
「これについては確実な情報です、リュウタがリエと闇ギルドを使って連絡していた事は闇ギルドからの情報提供によりはっきりしています。」
「闇ギルドから情報提供?」
「ええ、闇ギルドと言えど、国に歯向かう危険はよくわかっていますから、重大な問題に対しては密かに協力することになっているんです。」
「なるほど、そこから出た話か・・・
情報提供ありがとうございます。」
「いえ、ゴウ様の身の安全がなによりにございます。」
俺はルートにお礼を言ったあとカスミに事情を説明する。
「リュウタくんがそんな事をするなんて・・・」
カスミは驚きと信じられないといった表情を浮かべている。
「リエに唆されていただけとも言えるけど、このあとのリュウタくんの態度次第では駅からの追放も視野に入れようと思うけど、カスミちゃんはどう思う?」
「・・・正直まだ信じられない気持ちがあるけど、もしお兄ちゃんの命を狙っていたなら許せない。」
「落ち着いて、リュウタが実際どう考えているか聞いてから判断しようと思う。」
完全に怒っているカスミを宥めつつ、俺はリュウタを呼び出すのであった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます