第282話 捕縛の報告
「リエさんが捕まったか。」
ジョージア王国の配慮で俺の所にも報せが届いていた。
「はい、その際抵抗激しく多くの警備隊の命が失われました。」
「亡くなった警備隊の方々に哀悼の意を捧げます。」
俺は少し黙祷する、そして殺人事件はおいて置いてもリエの命を助ける事は難しいと感じるのであった。
「ゴウ様の同郷の方とお伺いしておりますが、大罪を犯した者です、残念ですが・・・」
「わかっております、私から何も言うことはありません、ただその女の友人がおりますので別れの挨拶ぐらいは許してもらえませんか?」
「わかりました、それぐらいなら陛下もお許しになると思われます。」
「よろしくお願いします。」
俺は使者に礼を言い、ミユキに事情を説明する。
「何でこんな事になるの、リエは何を考えてたのよ・・・」
ミユキはリエの行動を嘆く、殺人だけでも罪が重いのに更に罪を重ねたリエを助ける事が出来ない事は頭で理解出来た、だからこそ嘆くしかないのだ。
「一応、別れの挨拶ぐらいは出来るように頼んだから、多分会えると思うよ。」
「・・・ありがとうございます。
リエのした事を考えれば、別れの挨拶ができるだけでもありがたい事だと思います。」
「ごめんね、殺人を犯した者を庇う事は出来ないよ。」
「わかってます、ゴウさんの責任じゃありません、リエが全て悪いんです、そして私もリエの苦境に気付いて入ればこんな事には・・・」
ミユキの瞳には大粒の涙が流れていた、たとえ犯罪を犯したとはいえミユキにとっては大事な友人なのだ、それを失ってしまう悲しみに涙が止まらない・・・
「ミユキさん我慢しなくていいよ、今は一杯泣いたらいい・・・」
「ゴウさん・・・ううっ、リエは、リエは悪い子じゃないんです・・・
こんな事をするなんてわたしはまったくわからなくて・・・」
「わかっているよ、この世界に来た時に何かあったのかも知れないね。」
「でも、でも・・・わたし友達なのにリエの苦しみに気付けなくて・・・」
「仕方無いよ、隠していることは人にはわからないから、ミユキさんが悪い訳じゃないよ。」
俺はミユキを抱きしめ、思いを吐き出すまでずっと寄り添うのであった・・・
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