第280話 闇取引
「なるほど、この時間にリエは駅の裏手に現れるのだな。」
闇ギルドの長、ダーマシはリエの手紙を開封して内容を確認していた。
「長、よろしいのですか?」
「リエはやり過ぎた、どの組織にも越えてはいけない線引きがある。」
「しかし、情報を国に流すのは・・・」
「致し方無い、我々とて国と真っ向から歯向かう訳にはいかないのだ。」
ダーマシはリエの手紙を密かに警備隊に横流しする。
「なるほど、この凶悪犯は古の魔法使い様のお命まで狙っていたのか、しかし好機だ、リエに承諾した旨を連絡しろ、我々警備隊は駅裏に潜みリエを捕縛する。」
「・・・わかった、だが我々への追求は止めてもらいたい、我々は今回の森での無差別殺人事件とは無関係だ。」
「必要悪として目溢ししているのだ、一線を越えぬように注意してくれれば、それ以上は追求しない。」
「ならばいい。」
今回のように表では探せない相手も犯罪者同士ならわかる事もある、ダーマシは警備隊と適度に距離を保ちつつ闇ギルドを維持していたのだ。
それを知らないリエは別の犯罪者から闇ギルドの存在を教えられ、それなりに活用していた、少し値は張るが駅の商品も買う事ができ、情報なども入手出来る、少しアウトローな所が格好いいとまで思っている状態であったのだ・・・
「あの男にしてはちゃんとやれるのね。
あっ、これは今回の代金よ。」
リエは金を渡す、闇ギルドを使う以上金払いだけはしっかりとする、こういう組織は金さえ払っておけば裏切らない事が定番である。
自身の身を守る為にも金を惜しむ事は無かった。
「・・・伝言はいいのか?」
「あー、了解したとだけ伝えておいて。」
「わかった。」
男はそれだけ言うと森に消えるようにひっそりと姿を消すのだった。
襲撃当日、朝早くからリエはローブを深く被り、駅の裏手に潜む、
「さあ、早く来なさい、その時がゴミの最後の時よ・・・」
リエはナイフを構える、いつゴウがやって来ても狙えるようにと駅の裏手に集中していた。
それがリエの仇となった、闇ギルドの者がリエの後ろから痺れ薬を塗った吹き矢を吹く。
前にばかり気を取られているリエは後ろから来る危険に気付く事は無かったのであった・・・
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