第276話 女の子の事情
「稽古はいつでも出来るし、今は子供達の稽古の時間だからね。
ルートさんお邪魔しました。」
「いやいや、見事な腕前です。
横薙ぎの一閃から、ククリ殿の突きを捌きつつ足払い、中々出来る技ではございません。」
「いやいやお恥ずかしい技です、私に剣を教えた人なら横薙ぎの一閃で全てを斬りますし、足払いで足を破壊する事でしょう。」
「それは凄い御人ですな。」
「凄すぎて関わりたく無いです。」
俺が稽古を思い出してゲッソリする姿に何かを察したのかルートは苦笑いを浮かべていた。
「あ、あの、私、中岡チサと言うんですけど、ゴウさんの剣格好良かったです。」
俺達の談笑する姿を見て近づいていいと感じたのか、女の子の一人がタオルを持って駆けてきた。
「チサさんありがとう。」
「あー、チサズルい、私は美森イクです。
これを飲んでください。」
イクはスポーツ飲料を持ってきていた。
「ありがとう・・・」
「お兄ちゃん、鼻の下を伸ばさない!ほらみんなもお兄ちゃんをからかっちゃ駄目だからね。」
俺が御礼を言うのを遮るようにカスミが間に入り同級生達と話し合いを始め、カスミは女の子を引き連れ離れていく・・・
「みんなどうしたの、なんでゴウ兄にアタック始めるのよ!」
「だって、カスミ。
ゴウさんに養って貰えればこの後安泰だし、それにさっきの見たでしょ、強くて格好良かったよね。」
「うん・・・」
「私達も惹かれても仕方無いと思わない?」
「思わない!みんなよく見て、お兄ちゃんはだらし無い所もあるし、何かと適当に済ませちゃうし。
それに、もう30歳なんだよ、みんなには他に良い人見つかるから。」
「カスミ〜〜〜
思ってもない事は言っちゃ駄目だと思うな。」
「なっ!」
「頼れて〜優しくて〜面倒見がいいんでしょ?」
「みんな駄目だからね!」
「カスミ、私達気付いたの。」
「・・・なにに?」
「ここは異世界なのよ!ハーレムも可能だわ!」
「可能かも知れないけど、みんなは多すぎるよ!」
「大丈夫、ちゃんとカスミを優先させてあげるから、私達は養ってくれたらいいし〜」
「みんな駄目だからね!」
ワイワイと女の子同士盛り上がりながら話し合うのだが、どこまで本気で言っているのかわからないのであった・・・
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