第274話 ククリ参入
「ゴウ様、何故小者に丁寧にお話をされるのですか?」
ククリは冷たい目でリュウタを見ながら話す。
「誰が小物だ!」
その言葉を聞いたリュウタは激昂する。
「口を慎め、ゴウ様の小者だから一度は見逃すが魔王が娘に対しての口の聞き方がなっていないぞ!」
ククリは普段の温厚な話し方とは違い威圧を込める。
「えっ・・・」
ククリの威圧に萎縮されリュウタは言葉につまる。
「ククリさん、この子は別に小者という訳では無いんです、この世界に流れついた同郷の子供達を庇護しているのです。」
「そうでしたか、さすがはゴウ様です。
寛大な御心に感服致します。
ですが、ならばこそ、恩義を感じ礼節を持って接すべき態度がこの者からは見受けられません。」
「彼はまだ若いからね、大人に反発したい年頃なんです。」
「若い?充分働ける歳だと思います。」
「うーん、なんというかな・・・
地球では彼らぐらいの歳の子供達は学生として勉学に励む歳なんだ。
だからこの世界の子供達のように働く事が当然という考えが少ないと思うんだ。」
「なるほど、世間を知らぬ未熟者ということですか、しかし、恩義も感じぬとはどういう事でしょう?」
「それは個人差だと思うんだよね、まあ彼らからすればまだ親に養われている歳という事もあって、自立心が足りなくて、誰かに養われるのが当然という考えがあるのかな?」
「ふむ、価値観の違いという物ですね。」
「まあそんな所かな。」
俺はククリに説明していたのだが、それを聞いていた中学生達も思う事があったのかバツの悪そうにしている者達もいた。
「おいおい、言いたい放題言いやがって!
だいたい俺達に剣の稽古をさせておいてお前は何もしないのかよ!」
「えっ?」
「ゴウ、お前だよ!
俺達がしんどい思いをしてるのにお前はのんびり見学か?
良いご身分だな、おい。」
リュウタはククリが怖かったのか、今度は俺に絡み始める。
「今更稽古なんてねぇ・・・」
何か理由をつけて断ろうと思うのだが・・・
「ゴウ様!お稽古をなさるのですか!!」
俺の隣でククリの目が輝いている、そして何故かその手には既に木刀が握られていた。
「・・・ちょっとぐらいなら。」
俺はその目の輝きから逃れる事が出来ず、木刀を手に取るのであった・・・
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