第273話 訓練

「これを・・・」

リュウタはリエに指定された酒場に訪れマスターに紙を見せる。

「わかった。伝言を預かる、1週間後にまた来い。」

リュウタはゴウが戻って来ている事を伝えるのだった・・・


「剣の稽古かぁ〜」

中学生達の中でも男の子達は剣の稽古として少し楽しみにしている感じがあった。


「これは遊びじゃ無いからね、真剣に取り組んでほしい。

それと教官役を引き受けてくれたルートさんです。

皆さん拍手で迎えてください。」

俺の声に拍手でルートが迎え入れられる。

「ゴウ様、少し気恥ずかしいのですが・・・」

「まあまあ、すいません、忙しい中、教官を引き受けてもらいまして。」

「いえいえ、ゴウ様の頼みとあらば喜んで引き受けましょう。」

ルートは笑顔で引き受けてくれていた。


「まずは素振りをする、木刀を持ちなさい。

この木刀は実剣と同じ重さにしてある、これを振ることで自分を斬るような恥ずかしい真似はしなくなる。

始め!」

ルートは基本からしっかりと教えてくれる、素振りをするにしても一人一人確認しながら木刀の長さ重さを本人に合うように指摘、交換して各自に合った物を使用した素振りを行う。


「ルート先生、俺はもっと長い物を使いたいのですが?」

「長い物はチカラがいる、君はチカラが足りない、もっとチカラをつければ長い物に代えても良いと思うが私の指導のうちはそれを使うように。」

「ですが・・・」

「私はゴウ様から君達に戦う術を教えるように頼まれた、決して死ぬ為の技術を教えている訳では無い、従えないというなら訓練を止めて出ていきなさい、私に従えない者の命まで背負う気は無い。」

ルートは優しくもあり厳しくもあった、誰の質問にも誠意を込めて答える姿は中学生達にも好感を持って受け止められていた。


「なんだよ、訓練なんてしたって強くはなれないさ、要は才能次第さ。」

リュウタは訓練に参加していなかった、自分が放った放言が自分の首を絞め、剣を一から習うという事に抵抗が出ていたのだ。


「リュウタくん、訓練は大事だよ。

いざという時に自分を守ってくれるのは鍛えた自分のチカラだ。

君の腕前は知らないけど、日本にいる限り、中々実戦とはいかない筈だよ。」

一番訓練が必要なはずのリュウタが参加していない事に俺は不安を覚え声をかける。


「てめぇに何がわかる!俺は天下無敵の看板掲げて周囲を締めてたんだ、お前みたいな平凡な奴とは違うんだよ!」

「喧嘩と命のやり取りは違うよ。」

「何を知ったかぶりをしやがって!俺はゴブリンキングを殺った男だぞ!

すでに命のやり取りは経験済みだ!」

リュウタの言葉にククリの冷たい視線が刺さるのであった・・・

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