第271話 リュウタ帰還
リュウタは血塗れになった服を着て駅に帰ってきた為、同級生達で騒ぎになる。
「リュウタ!その怪我は!!」
「大丈夫だ、親切な冒険者に治してもらった。」
「本当に怪我は無いのか?」
「もう大丈夫だって、これから最強になる俺だぞ、怪我の一つや二つあって当然だ。」
一度死線を越えた為か、同級生達にとってリュウタの存在が以前より大きく感じられた。
「リュウタくん、怪我をしたって聞いたけど!!」
カスミも怪我をしたリュウタが帰ってきたと聞いて駆けつけてくる。
「カスミ!帰っていたのか!」
「ええ、そんな事より怪我を治さないと!」
「大丈夫、大丈夫、もう怪我は治っているから、ちょっとヘマをしただけだ。」
「でもどう見ても酷い怪我だよ・・・」
「なぁに、ちょっと強い奴に会っただけさ。
まあ返り討ちにしてやったけどな。」
「なあリュウタ、お前をそんな目に合わせた強い奴ってどんな魔物なんだ?」
「えっ?」
「そうだよ、どんな魔物を倒してきたんだ?」
「そ、そうだな、俺が倒したのはゴブリンキングだな。」
「ゴブリンキングって!物語とかでも中ボスぐらいじゃないか?」
「まあ、俺にかかればゴブリンキングとやらも敵では無いって事だ。」
リュウタはロングソードを掲げる、これがあれば自分が最強なんだと・・・
「リュウタくん、怪我をしたみたいだけど大丈夫だったのかい?」
駆け出したカスミを追って俺がついた時にはリュウタがロングソードを掲げ如何に勇ましく戦ったのかを語っていた。
「なんだよ、あんたには関係無いだろ。」
「まあね、ただ同郷の者としての心配だな。」
「ふん!お前なんかに世話にならなくても俺は充分やっていけるんだよ!」
「それは良かった、こんな世界だけど頑張っていけるならそれに越したことは無い。
ただ、無茶をして友人に心配をかけないほうがいいよ。」
「何が無茶だ!」
「ロングソードみたいな長めの剣を振るうにはそれなりに稽古しないと足を斬る事になるからね。
なれないうちは絶対に振り下ろしたりしない事。」
「うるせぇ!お前には関係無いだろ!」
ゴウの指摘はリュウタに取って耳が痛い話だった、それにこれ以上突っ込まれて足の怪我が自分で斬ったなどという恥ずかしい事がバレるのを恐れたのだ。
「リュウタくん、ゴウ兄さんは心配して言ってくれているんだよ。」
「こんな奴に剣の何たるかがわかるかよ!」
「あー、一応古流剣術の家に連なるから稽古はしたことあるんだ、まあ剣の何たるかまでは辿り着いていないけど。」
「お前剣を振るえたのか!」
「嗜み程度なら、稽古をするなら少しぐらいは指導出来るけど、それよりルートさんにお願いして騎士団から剣の指導者を呼んだ方が強くなれるかも知れないね。
リュウタくんが良かったら指導者を呼ぶけどどうかな?」
「・・・くっ!うるせぇ、俺は俺で強くなるんだよ!」
リュウタは忌ま忌ましい物を見るような目で俺を睨みつけるのだった。
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