第269話 学生隊の状況は?

「マナブくん、こちらに何か問題は無かった?」

「ゴウさん、問題と言うか・・」

「なにかあったの?」 

「リュウタが冒険者となり、此処から出ていきました。」

「自分で進む道を見つけたんだね、それは良いことじゃないかな?」

「良いことなのでしょうか?

この世界で命は軽い物なんでしょう?

現代日本に生きてきた僕達で生きていけるのでしょうか?」

「生きるも死ぬのもその人次第だよ。

冷たいようだけど、自分の命は自分で何とかするのが本来の形だからね。」

「・・・はい。」

「もし戻ってきて、ここで働きたいと言ってきたら雇っていいから。」

「いいんですか?」

「いいよ、この店で雇う人はマナブくんが決めればいい。

人に危害を加えるような人なら追放するだけだからね。」

「ありがとうございます、受け入れ先があればリュウタも安心出来ると思います。」

「連絡が取れるようなら伝えてあげて、俺はあまり王都にいないからね、何かあれば連絡して。」

俺はマナブにフリーパス券を渡す、これがあれば俺の所に向かう交通機関を自由に乗ることが出来る。


一方、リュウタは王都近くの森に来ていた。

「えーと、ゴブリンを討伐して右耳を取ればいいんだな。」

冒険者ギルドに登録して装備を整えたあと、初の任務としてゴブリン退治に来ていた。

「いたいた、ゴブリンぐらい楽勝だな。」

リュウタは喧嘩なれしており、同世代では負けないという自負がある、ましてや最下級のゴブリンなど敵でも無いと・・・


「じゃあな、喰らえ!」

自分の持っていた物と交換したロングソードでゴブリンに斬りかかるのだが、大きな声で斬りかかった為にゴブリンに気づかれかわされてしまう、それどころか力いっぱい振り下ろした剣は自重が加わり勢いを増して下りていく、それを止めるチカラも技量もリュウタには無かった、振り下ろされた剣はそのまま自分の足を斬る。


「いてえ!!くそっ!いてぇよ!」

リュウタにとって幸いと言えたのは手に入れたロングソードがナマクラであり、足を斬ったものの、自身の骨に当たり切断までにはいかない。


だが幸運とばかりでは無い、狙っていたゴブリンが目の前に来ているのだ。

「や、やめろよ!何をするつもりだ・・・」

「ぐぎゃ。」

ゴブリンはニタリと笑い手にしている棍棒を振り上げる。

「うわぁ!」

リュウタは思わず身をよじり棍棒を躱す、だがそのせいで傷口が開き血を蒔き散らす。


「いてぇ、なんでこんな事になるんだ!俺は強くなってカスミを迎えにいくんだ。」

リュウタは気合で傷の痛みを無視して両腕と怪我をしていない右足にチカラを込め転がっているロングソードに飛びつく。

「ギャギャ!!」

「うるせぇんだよ!」

リュウタを追ってきたゴブリンにロングソードを突き出し胴体を貫く。

「グッギャ・・・」

ゴブリンはそのままロングソードに貫かれ動かなくなる・・・


「はぁはぁ、やったのか・・・」

リュウタは安堵から地面に転がるのであった・・・

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