第268話 謹慎のリスク
「父上は何故私の謹慎を解かないのだ。」
リスクは既に何ヶ月も謹慎の命令が出たままとなっており、不平不満を垂れ流してきた、それでも大人しくしているのは以前出歩いた時に捕まった時の苦い思い出と父クルトの怒りをこれ以上買うわけにはいかない思いから大人しくしているのであった。
「リスク様、アリサ王女が任務を終え帰国なさったようにございます。」
「アリサが任務だと?いったい何をしていたんだ?」
「ご存知無かったのですか?
アリサ王女は海を越え魔王国との友好関係の構築に成功したとの事にございます。」
「海を越えるだと?魔物が蔓延る海をわざわざ越えてまで他国、しかも魔王国と友好関係を結ぶ必要などあるまい。」
「それについては私達が口を挟める事ではございません。」
「・・・わかった、私から父を諌めるしかあるまい。」
リスクは謹慎を破る口実にと魔王国との友好関係に口を挟むつもりで王宮へと向かう。
「父上に申し上げたい事がございます。」
「リスク、お主には謹慎を命じた筈だ、何故此処に居る?」
「父上を諌める為に参りました!」
「私を諌めるだと?」
「はい、父上が海を越え、魔王国と友好関係を築こうとしているとお聞きしましたが誠ですか?」
「そうだ魔王国と我が国互いが結び合うことによりさらなる国の発展に務めるのだ 」
「父上、国の発展と言いますが海を越えることにかなりの被害を出すことになります。
それこそ無用の長物かと。」
「リスク、海を安全に渡るすべが見つかったのだ、ならばこその国策である。」
「なんと!そのような物が見つかったのですか!」
「謹慎していたお前が知らないのは仕方無い事かもしれぬが情勢を常に気にするのは王族の務め、以後は気をつけるように。」
「お恥ずかしい進言をいたしました、しかし、海を渡るすべですか?いったいどのようにして、渡るのですか?」
「ゴウのチカラによるものだ、彼のチカラは魔物を寄せ付ける事なく移動出来る。
海を渡る時ですらそれは有効だったのだ。」
「ゴウ、あの平民ですか・・・」
リスクにとって不倶戴天の敵とも言える名前を聞いたことに怒りを覚えていた。
「ゴウを平民として扱うことは禁じている、彼は古の魔法使いにして国賓として遇する者である。
お前もそのつもりでおれと命じた筈だ。」
「しかし、あの者の素性はわからない者ではないですか!王家の者として、そのような者に媚びる必要は無いと存じます。」
「リスクよ、これは私の決定であり、国民の望む事なのだ。それに異を唱える事は許される事ではない。
だが、そなたも国を思っての進言なのであろう。
謹慎を破った事は悪いがその思いに免じて見なかった事にしよう。
今一度、謹慎し、ゴウの重要性を考えるのだ。」
クルトはリスクに再び謹慎を言い渡すのだった。
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