第267話 帰国

「さて、ゆっくり休んだし、王都に向かいますか?」

休みを満喫したあと俺達は王都に向かい電車に乗る。

「いつ見ても素晴らしいおチカラです。」

すでに何度も乗った電車ではあるが、すぐに特別車を用意出来るうえに数多の人を一度に運ぶ電車にアリサは感嘆しかない。


「私が努力して得たチカラでは無いので褒められるのは少し恥ずかしい所がありますが、このチカラのお陰でこの世界でも安全に生きることが出来ている事に感謝しています。」

俺はあらためてこのチカラをくれた神サファに感謝するのだった。


俺達を乗せた電車は王都に到着する。

「やっと帰ってきましたね、私達は城に報告に向かいますがゴウ様はどうなさいますか?」

「城に報告は遠慮しておきます、以前のような事は起きたくないので。」

「その件は申し訳無い気持ちで一杯なのです。」

「アリサさんが信用出来ない訳じゃないんです。

ただ色々な考えの人がいるでしょう、わざわざ危険の恐れのある所に向かう気になれないのです。」

「たしかにリスク兄上の派閥はありますし、絶対に安全とは言えないのが辛いところです。」

「リスクの派閥全部を出禁にしても良いんですけど、そうすれば派閥も崩壊するような気がしますが?」

「た、たしかにそうなのですが、それだと多くの貴族に影響が出てしまいます。」

「まあ、無関係な人まで巻き込みたくない気持ちはあるから良いけど、敵対関係の人がいる限り俺は登城しません。」

「承知しております。

その事についてはお父様にも重々伝えております。」

ジョージア王国がゴウとの関係を深める事が出来ないのは兄リスクの愚行があったせいである、その為に魔王国とは違い、個人として友好関係を深めても国として友好関係を深めることには至っていなかった。


魔王国の事もある為にこれ以上リスクの事を後回しに出来ない状況になりつつあったのだ。


「お父様、無事魔王国との友好関係の構築に成功しました。」

「アリサよ、よくやった!

海を渡っての過酷な任務、その労をねぎらおう。」

「ありがとうございます。

ですがゴウ様のおかげで楽しい旅となりました。」

「うむ、してゴウとは近づけたのか?」

「いえ、関係を結ぶまでにはいきませんでした。

やはりリスク兄上の一件を片付けない事には先に進めぬものだとあらためて思いました。」

「謹慎は甘いと?」

「はい、魔王国も王女を出し、取り込もうとしております。

このままだと魔王国に取り込まれてしまう恐れもございます。

どうかご一考ください。」

アリサの言葉にクルトは悩むのであった。

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