第266話 ラニアン王国
ラインが正式にマルリーヌとの婚姻を断り、魔王国に降った事がラニアン王国に伝えられる・・・
「なんと!それではプレザはどうなる!」
ハーツはまずプレザの身を案じる、ロンベル侯爵家が裏切った以上、ロンベル侯爵家の者として扱うという事は裏切り者の血筋という事になってしまう。
このままではクロエとの婚姻も暗礁に乗り上げる可能性があるのだ。
「ハーツ、落ち着け。
今はプレザの事より、傷ついたマルリーヌの心の方だろう。
折角の婚儀に水を差されてしまいどれほど傷ついているか・・・」
ヘリオス、ハーツともに悲しそうな目をして、気落ちしていた・・・
「お父様、それどころでは無いでしょう!
北の要たるロンベル家が魔王国に降ったのです、現在疲弊した我が国にとって致命的な事に繋がります!」
「クロエよ、たしかに我が国は疲弊したがそれは魔王国とて同じ事、すでに軍を退いたのだ、当面は大丈夫であろう。
ならばロンベル家を攻め落とすこととて可能だ。
今度はその辺りから圧力をかければ・・・」
「それは違うと思います、魔王国はお兄様からケジメを取ったから退いたのでは無いでしょうか?
今はまたロンベル家に攻撃を仕掛ければ魔王国は自分の地を守る為に再び軍を動かすと思われます。」
「クロエよ、何を根拠に言っておる。
魔王国は大軍を動かし長期に渡り我が国に侵略しておった、兵糧をかなり消耗したことは言うまでも無かろう。
再び軍を動かすには収穫の時期を過ぎてからと見るべきである。」
「お待ちください、魔王国はゴウさんと協力関係を築きました、あの人のチカラなら収穫も関係無く戦を行う事が可能です!
我が国が今すべきはゴウさんと接触し、関係を回復させることです。」
「クロエ、助けられて感謝したいのはわかるが、平民の男に何が出来ると言うのだ。
ましてや商人に訴えられ逃げるような男だぞ。」
ハーツはクロエの口からプレザ以外の男を認めるような言葉を聞き不愉快に思う。
「お兄様、ゴウさんはそれほど弱い人ではありません。
本来なら私がその身を差し出してでも我が国に招き入れるべき御方です。」
「クロエ!!そのようなはしたない物言いは許さん!」
「お兄様こそ現実を見て下さい!
プレザさんにどれだけ期待なされているかは知りませんが事はプレザさんにどうにか出来る状況ではありません。」
「落ち着け二人とも。
だが、プレザとの婚姻の話は暫し取りやめる。」
「父上!!」
「ロンベル家が裏切った以上、他の者達を抑える事は出来まい、別の体裁を整えねばならぬ事を理解せよ。」
「・・・わかりました。」
「クロエ、お前もはしたない物言いは王家を貶める。
以後慎め。」
「お父様!
・・・わかりました、ですが私の言葉も一考してもらえませんか?
どうにかしてゴウさんを取り込む事が我が国の存続に繋がると考えております。」
「わかった、一考しよう。
さあ二人とも一度頭を冷やしてくるのだ。
私もこれからマルリーヌの気持ちを癒してくる。」
王家の三人はそれぞれ自室に戻るのだが、国の崩壊は始まっていくのだった・・・
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