第264話 連れて帰る
「ま、まおうの娘を連れてですか・・・」
「はい、魔王クーラの娘、ククリと申します。
ゴウ様の警護も兼ねてお側に控えるつもりです。」
「ククリさん、さっきも話したけど警護は必要無いと思うよ、それに守られるべきはククリさんのほうだからね。」
「あはは、ゴウ様、油断は大敵ですよ。
失礼ですがゴウ様の立ち振る舞いは素人と大差ありません。
剣の心得がお有りなのはわかりますが常在戦場の心得が足りてないように見受けられます。」
「うっ、それはまあ、アキラさんにも指摘された事だけど・・・」
「ですので、警護に私がいるのは大事な事なんです。」
「ククリ王女、警護と言うならジョージア王国からも人を出しますのでご安心ください。」
アリサはゴウが魔王国に取り込まれないように口を挟む。
「大丈夫です、アリサ王女に仕えている者をみる限りに腕利きは数人といったところでしょうか。
それも全員が男性です。
ゴウ様の寝所の警護までは努める事が出来ないでしょう?」
「えっ?寝所まで警護するの?」
「寝所こそ危険なのですよ、一番無防備な所を守らないでどうするんです。」
「それだとククリさんが寝ることができないんじゃ?」
「私は寝てても魔法で警戒する事も、気配を察知する事も出来ます。
それにゴウ様がミユキ様と致している時でも女性の私なら側に控えても問題無いかと。」
「・・・致さないから!
それにそんな開放的な趣味は無いよ!」
「わかっております、剣神様も夜は奥手だったと奥方様の秘伝書に書かれておりました!」
「リョウのやつ、何を後世に残しているんだ・・・」
俺は親戚の乱行をこんな形で知る事になろうとは思わなかった。
俺が親戚の恥を味わっている間にミユキとククリが小声で話している。
「ククリさん、その秘伝書を読む事は出来ますか?」
「あまりお見せする物では無いのですが、ミユキ様ならどうぞゴウ様との夜の営み御参考にしていただければ。」
「ありがとうございます。
それで確認なのですが、ククリさんは私とゴウさんが結ばれる事に賛成でいいんですよね?」
「はい、勿論です。
創造神様と剣神様、二人の血が結ばれるなんて、尊い事が本当に起きるなんて・・・
女神の祝福があらんことを・・・」
ククリは両手を合わせ祈る。
「あの?ククリさん?」
「失礼しました、魔族の宗派的問題でした・・・」
「そうですか?よくわかりませんが・・・」
ミユキはそこはかとなく不安を感じる。
「ミユキ様は・・・同志では無い御様子ですね。」
「同士?わかりませんけど、魔族の宗派についてはよくわかりません。」
「大丈夫です、魂が感じた時が理解する時なのです。」
「え、えーと、大丈夫なんですよね?」
「大丈夫です、問題ありません。
ミユキ様には是非結ばれて欲しいと心より願っております。」
妙に興奮気味に推してくるククリに少し不安を覚えるのであった・・・
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