第259話 飲み屋
「ゴウ様だ!ゴウ様が飲みに来られたぞ!!」
すでに店内にいた魔族達が少し騒がしくなる。
「皆さん落ち着いてください、ちょっと飲むだけですから。」
「ゴウ様にカンパ~イ!」
「剣神様に!!」
酒のテンションもあり、魔族とはいえ、ただの酔っ払いである。
「皆さん、暴力には気をつけてください、思わず殴っただけで追放されますからね。」
「わかってまーす、暴力厳禁です!」
魔族も笑いながら返答を返す。
「ゴウさん、魔族から慕われていますね。」
「自分がというより、自分の親戚が慕われているみたいなんです。」
「ご親戚が?」
「ええ、何をしたかはサッパリわからないんですけどね。」
「ゴウ様!こっちの席を空けましたぜ、ここへどうぞ!!」
俺達が話している間に何人かが席を移動して俺達のスペースを空けてくれた。
「悪いね、お邪魔させてもらうよ。」
俺達は空いたスペースに座る。
「まずはビールをもらえるかな?ウォルフさんは?」
「私もそのビールという物を。」
「ゴウさん、私は烏龍茶にしますね。」
「そうだね、飲まないように気をつけてね。」
「わかってますよ。」
俺は飲み物を頼んだあと、いくつかのツマミを頼む。
「ゴウ様、本当にここで飲むんですか?」
「あ、あの、調子にのってましたけど、こんな大テーブルで俺達もいるような席で・・・」
「わざわざ空けてくれたんだから勿論ここで飲むよ。」
俺達が注文した事で本当に大丈夫なのか心配している様子だった。
「それより、皆さんも飲んでください、ここの酒は剣神リョウも飲むような酒です。
思いっきり飲んで楽しんでください。
そうだ、折角です。
今日の飲み代は私が持ちましょう。
私が滞在している間のお金はいただきません!
お好きな物を頼んてください。」
「えっ?いいんですか?」
「ええ、いいですよ。
その代わりと言ってはなんですが、人族を見かけても普通に接してください。
まあ心配はして無いんですけど、私の連れのように初めてイーヨにくる人族は不安だと思うので皆さんが普通に接してくれるだけでも嬉しいと思うんです。」
「わかりました、というかそれぐらい普通じゃ?」
「そう答える皆さんだから心配してないんです。
まあ楽しく飲んでくれたら良いですよ。」
俺は店の設定を代えて全額無料とする。
「ゴウさん、そんな事をしていいんですか?」
「ええ、問題ありませんよ、それより酒も来たようですし乾杯といきましょう。
みんなグラスを持ったかぁ〜」
「「「おぉ!!」」」
「今日の出会いに!!かんぱ〜い〜」
「「「ゴウ様に!乾杯!!」」」
店内から豪快な声が響くのであった。
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