第257話 ウォルフと遭遇

「ここが魔王国の首都イーヨか。」

ウォルフはゴクリとツバを飲む、ここまで来るのに使った交通機関鉄道の便利さに驚き、駅弁と呼ばれる食べ物の美味しさに驚きここまで来た、果たして魔王国では何が待ち受けているのか、ドキドキしながら歩き始める。


「しかし、思っていたよりは普通か。

鉄道と駅とは違う雰囲気だな。」

ウォルフは町を歩くが種族の違いこそ感じる町の造りではあるが鉄道のような別次元の技術の差を感じる事は無い。

ウォルフは宿を探しながら町をじっくりと調べていた。


「あれ?人族?」

散策していた俺はイーヨでは珍しい人族を見つける。

「珍しいですね。」

「まあ、降伏した地域もあるし鉄道で繋がったからね、歩いていてもおかしくないか。」

俺はそのまま通り過ぎようとしたのだが・・・


「少し聞いてもいいでしょうか?」

目の前に来ると声をかけられる。


「なんでしょう?」

「あなた達は人族ですよね?」

「ええ、人族ですね。

そういうあなたも人族では?」

「ああ、人族、ウォルフ・ロンベルという者です。」

「私はゴウ・キリタニ、こちらは」

「ミユキ・キリタニ・・・もといマエダと今は言います。」

サラリとキリタニを名乗ろうとするミユキにジト目を向けると本来のマエダ姓を名乗りなおす。


「なるほど、お二人の関係がわかった気がします。」

ウォルフの爽やかな笑顔に警戒心は緩む。


「それでなんの御用でしょう?」

「聞きたい事がありまして、この町で人族は珍しいと思うのですがどうなのでしょうか?」

「珍しいと思いますよ、現在滞在しているのは自分達とジョージア王国の使節団の方々ぐらいだと思います。」

「ジョージア王国?たしか海の向こうにある国のはずでは?」

「そうですよ、魔王国と国交を結ぶ為に来訪しているんです。」

「人族の国が魔王国と?」

「魔王国と言いますが見た目が違うだけだと思いますから。」

「・・・いや失礼しました。

たしかに先入観で考えてはいけませんね。

しかし、ゴウさんは人族と魔王国の関係にお詳しいですね。」

「まあ、色々関わっているというか、原因というか。」

「えっ?もしかしてフリード兄が会ったというのはゴウさんですか?」

「フリード?それはロンベルからの使者のお名前だったと記憶していますが?」

「そうです、そのフリードです。

宴の席でお礼を言うことが出来なかったことを兄は恥じておりました。

弟としてまずは謝罪とお礼を言わせてください。」

「たいしたことをしていませんから、お気になさらず。」

ウォルフに深く頭を下げられ少し慌てるのだった。

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